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よみもの~中等部編
9 ~kaoru

かのんらしくない、もう、めちゃくちゃに泣きじゃくって、
何か言っているようだが、聞き取るのも難しい
俺はかのんを泣くままにさせた

しばらくすると
少し落ち着いたようで、ごそ、と身体の向きをかえる。。。
「イヤだけじゃわかんねぇだろ?
 俺の事がイヤなのか?」
かのんはふるふると頭を横に振る
「じゃあ、何が嫌なんだよ?」
背中をぽんぽんと叩いた
「少しずつでいいから、話してくれないか?」
かのんはしゃくりあげ、それでも、必死に声を絞り出すように話し始めた
「だって...私...海堂君...」
「うん」
「海堂君の事好き...だから...でも...」
「うん」
ぎゅっと抱きしめる
俺だってお前が好きで好きで堪らない
「でも、私...
 海堂君...ぅっ...ふ...ぅっ...」
懸命に声を殺して泣くお前をみるだけで、俺だって泣きたくなる
「だって...だってしょうがない...」
「何がしょうがないんだ?」
「海堂君...が、他の人...好きに...」
「お前、バカだろ?
 俺がどんだけお前を好きかわかんねぇのか?」
「ちがっ...」
そして、折角落ち着いてきていたのに、また涙をぽたぽたと落とす
膝の上に置かれたかのんの手は力一杯握られ、ぶるぶると震えていた
「なぁ、お前何がそんなに不安なんだよ?」
腕の中で、ビクっと身体がはねた
そうだ、いつもかのんは笑っているのに、不安そうな顔をちらりと覗かせる
「また嫌がらせされてんのか?」
首を横に振る

「だって...だって...海堂君、人気...ある」
「それで俺が他のヤツを好きになるなんて、何で考えんだよ?」
「海堂君と釣り合ってないって
 それでも、海堂君と一緒にいたい、からっ...
 知らないフリして
 なんでもないっ、って
 私、海堂君のこと、騙してる
 だって、本当は
 私本当はすごくイヤな性格なの
 チョコレートだってそうよ
 本当は他の人から貰ったものなんて、捨ててやりたいくらいなのよっ
 でも、いい人ぶって、彼女達の気持ちがわかるって
 そんなの、どうだっていいのよ
 私、私はっ」

息が、言葉が続く限り、かのんは一気に吐き出した
力が入りすぎて、身体全部がけいれんを起こすように揺れた

「だって、私
 私、海堂君の一番でいたいのに...私...ムリよ...もう...」

緊張がピークを越えたのか、かのんの身体から、かくん、と、力が抜けた
急に俺の腕に、かのんの重みが伝わってくる
身体の重みも、気持ちの重さも

その重さを受け止めきれない俺

情けない。。。
俺自身に嫌気がさす

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