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よみもの~中等部編
8 ~canon

ダメ。。。
間に合わなかった。。。

情けない、涙が止まらない。。。


もう。。。ダメ。。。


私、なにしてるんだろ?
私の手、海堂君が握ってる?
ここ。。。どこ?

カチャリ、と、固い音がした
何!?
鍵閉めて。。。いやっ。。。
海堂君と二人っきりになりたくない
だって
海堂君に気付かれてしまう
そんなのイヤっ!

優しいフリして
海堂君の事を騙してる

こんなのいつまでも続くはずない


はやく逃げなきゃ。。。私。。。はやく。。。

海堂君が気付く前に


床に背中をぶつけた
一瞬息が止まった
そして、見下ろす海堂君の顔

。。。怖い。。。

やめて


「落ち着け...何もしねぇから...
 約束したろ?俺、お前の嫌がる事はしないって...」


やめて


「何もしねぇ...
 だから、大声だけはださないでくれ
 俺、お前と話がしたいだけだ」


やめて
いや
怖い

海堂君に嫌われるのが怖い

いつかは海堂君に気付かれてしまう
その時が来たら。。。


その時が来たら私、どうなっちゃうんだろう。。。


身体にかかっていた重みが無くなった
でも
震えが止まらない

目の前に海堂君の手が見える

差し伸べられた手

さわっても。。。
その手をとってもいいの?

「大丈夫か? どっか、痛めてねぇか?」

いつも。。。

「制服、よごれちまったな? 俺、はらってやってもいいか?」

いつもやさしい。。。

「海堂君も...」
「ん?」
「よごれちゃった...」
「そうだな、背中、はらってくれるか?」


「座らないか?
 あ...人が来たらマズいから、電気はつけねぇけど...いいよな?」

海堂君はこんなにやさしいのに

「俺、まだお前のチョコレート食べてねぇんだけど?」

私は酷い。。。狡い。。。

「なあ、前にも言ったけど...
 言わなきゃわかんねぇだろ?
 俺、お前がこんな風に泣くのみるのは、いやなんだよ...」

言わなきゃわからない
。。。そう、何度もきいたセリフ
でも
言いたくない、知って欲しくないって、今程、思った事ない
それなのに。。。
言わなきゃダメ。。。なの?

「かのん?俺、何かしたか?」

ちがうの。。。
海堂君は悪くない
悪いのは。。。私

「もう...イヤなの.....」

一緒に頑張っていければいいと思ってた
そうやって、今迄も頑張ってきた
それだけでよかったのに

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あきゅろす。
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