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よみもの~中等部編
6 ~kaoru

チョコレートを全て拾い終わって、
あくまでも、かのんが『自分用に買った』と言い張るチョコレートの包装を解いていると、
なぜか不二先輩と菊丸先輩が、視聴覚教室へと現れた
「ほぉら、不二ィ!言った通りだっただろぉ?
 薫ちゃん達、絶対まだ校内にいると思ったんだよねー」
なんだって?
「ホントだ...
 それにしても、海堂も奏音ちゃんもなんだかスゴく楽しそうだね?」
ふふ、って笑うな、ふふって。。。
「先輩達、もう練習とっくに上がってたのに...何してたんスか、今まで?」
そういうと、ごそっとそれぞれに紙袋2個分の、収穫したチョコレートをふってみせる

「どんなチョコ貰ったのかなー、ってね、不二と見せあいっこしてたんだにゃっ」

俺も奏音も呆れた
まったく、この先輩達は。。。
「で?なんかスゴいのがあったんスか?」
「うん、そうだね...由香ちゃんの超激辛柿の種チョコって、結構美味しかったし」
「うそうそ、フツーの人には厳しいから...
 それよりも俺は、カノンちゃんのチョコに興味があってさぁ〜
 なんか、去年のもスゴかったらしくて、不二ったら、すっごく期待してるんだよね」
俺はかのんの顔をまじまじとみつめた
お前。。。一体どんなチョコレート渡したんだよ?
「うん、だってね?ちょっと期待しちゃうじゃない?」
かのんは、あー、いやー、そのー、と、かなり挙動不審になっている
「ねぇ、奏音ちゃん?
 くれた人の前でみんなで分けて食べるって言うのはやっぱりマズいかな?」
「えっ...いえっ、あのっ...えぇっ!?」
「ごめんね、なんかもう家まで我慢できなくてさ」
そう言って、不二先輩は包装をとき、きれいに箱の中に並んだチョコレートを俺達に披露した
見た目は、まあフツーに高級そうなチョコレートだ。。。
箱の中にはいっていた商品の説明だろうか?
不二先輩は、そのちいさなカードを取り上げ、読む

「えーーー...と...
  このチョコレートは、厳選された素材のみを使用し、ショコラティエの手により、
  一つ一つ丁寧に仕上げた、最高級のチョコレートです。
  非常に希少価値が高い野生のカカオを使用し、奥深い味わいをお楽しみいただけます。
 だって...」

「なんかフツーだね...まあ、すごく高級ってのはわかるけど...」
うん、普通だ。。。しかし、そんなはずはねぇ。。。
コイツ。。。かのんに限って『フツー』なんてありえねぇ。。。

「続き読むね、えーと、何々...
  またチョコレートの中には、キルシュでフランベしたビターオレンジピール、
  サンドライドベリーを練り込んだガナッシュ、厳選したハラペーニョを」
「へっ!?なに?はら?ハラなんて??」
オイ、それって、唐辛子だよな。。。確か。。。

そして、不二先輩は説明を読むのをやめ、なにやら楽しそうに微笑む
「ハラペーニョだよ、英二...へぇ...どれ...」
そう言って、不二先輩は一つチョコレートをつまみあげ、齧った
ん。。。と、眉をよせ、ぽつりとつぶやく
「コレは、ハズレ...か...こっちかな?」
また一口齧り、そして、眼が開いた
こえぇ。。。不二先輩の開眼っ!!

「うわっ、コレ最高だよ、奏音ちゃん!
 中のハラペーニョの爽やかな辛みと、このココアのビターさ...
 うん、最高の組み合わせだよ、おススメっ」

ちょ。。。ちょっとまてっ!!
それがハズレじゃないのか?
「ちょっと、ちょっ...不二ぃ!?」
菊丸先輩もあわててる、っていうか、理解不能だろ普通に考えて
「ホラ、やっぱハズレの後のアタリって、なんかそれだけでうれしさ倍増じゃない?」
すげぇ、不二先輩。。。なんか、達観してる。。。

しかし俺は不二先輩よりも、ナナメ後ろから発せられる奇妙な空気を察知し、振り向いた
何だよその顔!
文句無しの笑顔ってのがあったら、きっとこんな顔だ
でも。。。そうだよな、おいしい、って言ってもらえてうれしいんだよな?
よかったな。。。

そして、俺達もそのチョコレートを相伴預かる
もちろん、不二先輩の言う所の『ハズレ』のヤツをだ
俺が食べたのは、オレンジピールの入ったチョコレート、うわ、すげぇウマいこれ

。。。でも、心配すんなよ
あとで、一緒に食べような?お前のチョコレート

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あきゅろす。
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