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よみもの~中等部編
缶ココアって冷たくなるのはやいよね

それからしばらく、ビミョーな空気が私と桃城君の間に流れた
河川敷を、とぼとぼと並んで歩きながら、私は買ってもらった缶ココアをちびちび飲む
まだ半分以上残ってるのに、冷たくなってしまって、缶を持ってる手も冷たい
「あのね?」
「んん?」
「何か怒ってる?」
「別に...」
いや、それって、怒ってるでしょっ。。。
そりゃ。。。私もふざけすぎたよ。。。悪かったわよ。。。
でも。。。

「あのさ...」
「ん?」
「俺...」
「うん...」
そしてまた、会話が途切れた

「やっぱ...ムリだわ、俺」

ムリって?なんだろう?
桃城君の顔を見上げると、口をへの字に曲げて、明後日の方向を向いている

「俺は...海堂みたいに鈍くねぇ...と思ってる
 けど...アイツみたいに...我慢強くはねぇ...」

桃城君は何が言いたいんだろう?
なにをどう、言葉を返していいものか、悩んでしまう

「俺、な...ユカちゃんが不二先輩にチョコ渡してるの見た時...
 本気で嫉妬した...」
フッと、息をついて、顔をぐっと上げる
「あのさ、不二先輩にチョコを渡す時のユカちゃんの顔、すっげぇかわいかった
 なんかさ、ユカちゃんは不二先輩の事、好きなんだなー、って
 でも、俺ン時には、あんな顔してくれなくてよ
 俺...何かさ...何なんだろうって...」
 
「ねぇ、桃城君...」
「うん...」
「あのさ...よぉ〜くきいてほしいんだけどね...
 私ね、不二先輩の事、すっごく好きだよ?」
桃城君は、大きく溜め息をついて、やっぱりな...と、顔をそらす
自転車のハンドルを握る手にぎゅっ、と、力が入ったみたい
「でもねぇ...何て言うのかな...そう言う好きじゃないんだよ
 一緒にいたいとか、カノジョにしてもらいたいとか...
 恋愛ってイミで好きなんじゃなくて...ね、こう、憧れてるっていうか...」
ちらりと桃城君の様子を伺ってみる。。。けど、何のリアクションもない
きいてないのかもしれないな。。。
ちょっと落ち込む
「桃城君もいっぱいファンのコからチョコレート貰うじゃない
 中には、さ、桃城君のカノジョになりたくて、告白するコもいるだろうけど、
 大半のコって、そうじゃないでしょ?
 私も、一緒なのよ...わかるかなぁ...」
何も言ってくれない桃城君にがっかりした

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あきゅろす。
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