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よみもの~中等部編
3 ~kaoru

「じゃ、いい?
 はいっ!みんな一斉に口に入れて!!」

ポイッとチョコを口に投げ入れ、咀嚼してみる
なんだ。。。
なんでもな。。。


い!? イテぇっ!!!!!!!!!!!!!!


俺は水を求めて走った
教室から出て、一番近くの水道には、松尾と橋本もいる
コイツらも涙を浮かべて、口をすすぎ、うがいをする
もちろん俺も

だが。。。おかしい。。。。。

松尾も橋本も、数度うがいをしただけで、ひでぇ目にあった、と、笑っていられる
それに対し俺は、何度口をすすいでも、口の中のヒリヒリ感はなくならないし
あまりの辛さ。。。をとうに超えた痛さが、目の奥まで侵してちかちかする
それに、喉がぎゅうっと締め付けられて、呼吸もままならないって言うのに?
二人は、お前、大丈夫かよ?俺ら先に行ってるな?と、笑いながら、教室へ帰っていった

俺は流しっぱなしの水で、口の中をとにかく洗浄する
まだ口の中に痛みは残っているが、我慢できない痛さになってくると、
引いていく痛みに反比例して、だんだんと怒りがわいてきた
何で俺なんだよ!?
アイツだ、かのん!!お前だろっ!!!!!!

「あ、海堂君おかえりなさいっ」
「あ”ぁっ!?」
教室に戻った俺に、かのんはいけしゃあしゃあと、こんな事をヌカしやがるっ
「海堂君、くじ運いいんだねぇ、一等賞だよ?」
「お前っ!俺を殺す気か!?」
「はぁ?」
ボケさらしてんじゃねぇっ
「お前だろ言い出したのはっ!!」
「ハァ...だから、海堂君、しっかりちゃっかり一等賞ひいて、すごいな〜って♪」
「あんなの人間の食いモンじゃねぇっ!
 そんなモン、食わせといてくじ運もいいもわりぃもねぇだろっ!!」
あまりのかのんのボケ具合に、俺は、自分を見失う一歩手前だ
「ちょっと待って!私が食べさせたんじゃないでしょっ!!
 海堂君がっ! 自分でっ!! 選んだチョコよ!!!」
「ぁあっ!? ンだとゴラぁっ!!」
「なにっ!?」
「お前がこんな事言い出さなかったら、
 俺はこんなモン食べずにすんだンだろうがっ!」
「ヘリクツ捏ねるなっ!男らしくないっ!!」

ヘリクツ捏ねてんのはテメェだろっ!!
そう怒鳴ろうと、思いっきり息を吸い込んだ俺に、かのんは、指を突きつける
な。。。なんだよ。。。
戦慄が走り、俺は何も言えなくなる
この目。。。あの時。。。カノンを本気で怒らせた時の目?
しかし、それも一瞬だけだった
すぐに、いつものふにゃっとした顔になり、金色の包装紙で包まれた箱を差し出す
「高級チョコレートの詰め合わせ...『大当たりで賞』...
 ね?言ったでしょ? 海堂君、くじ運いいって」
「...あ...」
ふにゃふにゃと笑う顔に、怒鳴りつける気もそがれてしまった
「ありがとう.....」

そして、ひと呼吸あって、クラス中が爆笑する
まったく。。。お前にはやられっぱなし。。。
流石、テニス部公認おもしろ系

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あきゅろす。
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