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よみもの~中等部編
6 ~canon

「カノン...ごめんね?」
海堂君と桃城君が教室からいなくなって
由香ちゃんは、目を合わせない私の顔を覗き込みながら、もう一度そう口をひらいた
「ううん、私こそごめんね、怒鳴っちゃって...」
やっと、そこで、由香ちゃんの目をみることができた
由香ちゃんは、ホッとしたような、気の抜けたような笑い顔を向ける
ホッとしたのは、私、なんだけどな。。。
「いや、アレは私が悪かったから
 アンタ達はちゃんと考えてるんだよね?
 うん!よくわかった」
にやぁ〜り、と笑う
「...う...もうっ、恥ずかしいっ」
折角顔を向ける事が出来たのに、また恥ずかしくて、他所を向いてしまう
「わかってる、わかってる
 さっきの事は、みんなにナイショにしといてあげるから、今度何か奢ってね」
俯く私の下にまわりこみ、ニッとわらう由香ちゃん
「それって、脅迫っていうよ?」
「ちがうちがう、コレは友情です」
そうけらけら笑う由香ちゃんが、やっぱり、大好き

「ホラ、顔洗ってきなよ、目を腫らしてレッスンなんか行ってみ?
 ホント『みっともない』よ
 それに...アンタ、コレ、ジャージのファスナーの跡」
つつ、と、由香ちゃんは私のおでことほっぺたを指でなでる
やだなぁ、もう。。。
みっともないことだらけ。。。
「それにしても、桃城君と由香ちゃんって、デートする仲だったんだ?」
「はぁ?」
「なんかびっくりしたっ
 いつから?全然気付かなかったんだけど...」
「あぁ、ちがうちがう、その場のノリってヤツよ
 ま、いうなれば『特別な友達』ってヤツだ、うん、アンタ達とはちょっと違うけど」
「へ?」
「特別っていうの、わかる...かな...今なら」
にっこりと笑う由香ちゃんの顔が、『特別なの』と言った杏ちゃんと重なる
言わなきゃわからないコト
つたわらないコト
そんなことが多すぎる。。。
「ま、とりあえず、この昼ご飯片付けちゃおうよ?」
情けなさや恥ずかしさを、こうやって話題をすり替える事でごまかす自分。。。
「まったく、色気もなにもないもんだっ、呆れてモノも言えんっ」
「いいのっ!」
えへへへへ、と二人で笑った

でも。。。

なんで私ってこうなんだろう
どうしてもっと素直になれないのかな。。。

いつもごまかしてばかり

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あきゅろす。
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