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よみもの~中等部編
4 ~canon
あらら。。。はずえクン、ねちゃったか。。。
「どうする?海堂君も、もう寝る?」
そう聞くと、海堂君は、口元を緩ませてフッと笑った
「どうしたの?」
「な...なんでもねぇ...
 俺、5作目の途中迄しか覚えてねぇから...」
「うん、いいよ?最初から?それとも...」
「最初から」
「了解」
あ、そっか。。。前にもこんなカンジの会話したね。。。

唇が乾く、空気が乾燥してる。。。
「ねえ、エアコン...のせいかな?なんだか喉が渇くね...」
海堂君は目をぱちくりさせてる
喉、かわかないのかな?あんまり水分とらない
「エアコン、切るか?寒くねぇか?」
「私、部屋から上着とってくる
 あと...毛布も持って来ていいかな?」
「いいけど...」
「ホットカーペットの上に座って、お布団かけちゃえば
 コタツみたいにあったかいから大丈夫だよ?」
「じゃあ、切るけど、寒くなったら言えよ?」
海堂君って、やっぱり、気遣いは上手いよねぇ。。。
「うん」

はずえクンの部屋から、毛布を抱えて出てくると
海堂君のお母さんがちょうど寝室に入る所だった
「奏音ちゃん、まだ映画観るんですって?私達先に休むわね」
「はい...おやすみなさい」
「おやすみ」
そっか、お母さん達、明日も朝からおせちの準備するからかな?
それにこの時期、
この前みたいに、リビングで寝る訳にはいかないよねぇ。。。

毛布を抱えているので両手が塞がってる
「海堂君?」
開けて、と言う前に、ドアが開き、部屋に入れてもらえた
「お母さん達、もう寝ちゃうんだってね?
 うちでのコト、ちゃんと学習したんだ、お父さん達も」
ほんと、この前は酷かったもねぇ。。。
私は海堂君の持っている、かわいい模様の紙袋が目に入った
「それ、なあに?」
「あ、さっき母さんが来て...」
ぱさっと開いて、中をみた海堂君が。。。固まった。。。
「何?」
「えっ、あ...いっ、いや...なんでもない」
何、慌ててんだろ。。。
「ヘンなの」
ま、いいか、映画、映画。。。と
「海堂君も上、なにか着た方がいいんじゃない?寒くなる前に」
「...お...おぅ...」
テーブルに放り投げるトコロをみると、さして重要なものじゃなさそう。。。

でも、映画が始まってしばらくしても、海堂君はそわそわするばかり
なんですか?その落ち着きのなさは
原因は、きっとアレだ、あの紙袋。。。
DVDを一旦止めて、海堂君に向き直った
「海堂君、なんかヘン...あれ何?みてもいい?」
じぃっと見据え『必殺、無言の圧力』をかけると、とうとう観念したのか、
海堂君は、大きな溜め息とともに、その紙袋を差し出した

それにしても。。。なんだろ?と、紙袋を開き中に入っていたモノを取り出すと。。。
「........」
さっきの海堂君のあわてぶりを思い出して、笑ってしまった
「やだぁ、海堂君のお母さんって、お茶目さんなんだぁ...
 それに太っ腹っ、まるまる一箱だよ〜」
海堂君の顔、おかしいっ
この薄暗い中でも、真っ赤になってるのがわかる
「...ったく...何考えてんだよ、母さん...
 こんなの...使えるはず...できるはずねぇ...」
やだ、この人、何真剣に悩んでるの?
これって、海堂ママのジョークにきまってるじゃない。。。
笑っちゃいけない。。。けど。。。笑。。。う。。。おなかよじれちゃうっ
「違う、逆っ、これは牽制なの
 もし使ったら、あなたたちが『致した事』わかっちゃうわよ、って」
も。。。だめっ、限界っ!!
はずえクンを起こすといけないから、毛布を頭から被って笑った
「そ、そうか?」

それでも声を出して笑ったら、ちょっとだけ落ち着いた
「だいたい...ちょっと考えてみて?
 海堂君と私が、今ココで、コレ使うような事態がおきるはずないじゃない?」
「え...そ、そうだな、うん、そう」
そうそう、落ち着いて、落ち着いて
「だからね、朝になったら、私達には必要ありません、って返せばいいのよ」
「そうなのか?」
「だって、必要ないもん」
その拍子に、海堂君の顔が微妙なカンジに歪んだ
まあ。。。仕方ない、か。。。
程度はどうであれ、キョーミのあるお年頃なのは、
海堂君だって他の男子と同じだよねぇ。。。
「それとも、使ってみたい?」
「え...わ...わから...ねぇ...
 お...お前は...どう、なんだよ?」
多分それは海堂君の本音なんだろうな、と思う
だから、こうやって私にも同じ質問をするんだろう
「うん...私もわからない...」
わからない。。。か。。。
海堂君は、じぃっと私の顔を覗き込む
そんなに心配そうな。。。困ったような顔、しないで?
もう、嫌だな、私。。。
なんでいつも海堂君にこんな顔ばっかりさせちゃうんだろう。。。
ホントは情けなくて涙が出そうなのに
もっと困らせてしまいそうで、無理に笑いを作った
「映画、続き観ようか?」

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あきゅろす。
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