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よみもの~中等部編
13 旅にロマンスはつきものか?

印鑑を受け取った後、ホテルまで、おじさんに送ってもらった
別れ際に、カノンがちょっと泣いてしまって、
つい、私まで連れ泣きしちゃったじゃないのよっ
私達は、おじさんに、たくさんたくさんお礼を言って別れた

「なあっ!まだ時間あるけど、どうする?」
桃城君が、湿っぽくなった私達を励ますように、元気に尋ねる
「その辺、ぶらついてみようぜ?なっ!?」
すごい、桃城君って、ムードメーカーだ
カノンは、にっこりと笑うと、プロムナード行こうか?と少しだけ元気がでたようだった

海沿いの公園をぷらぷら歩く
「お、俺ちょっとあそこ見てくる!」
「コラ、桃城君!団体行動だよ!!」
また叱りつけてしまった。。。
「いいから、いいから、オイ、海堂、30分後にココに集合な!
 行くぜ、ユカちゃんっ」
それだけ言い捨てると、いきなり、私の手を掴んで走り出す
ちょっとコイツ、何考えてんのっ

「ちょっ、ちょっと桃城君っ...桃城君ったら!!」
キツい口調で怒鳴ると、桃城君はピタ、と止まって、ニッ!と笑顔を向ける
「何考えてんのよ、もう...」
ハァハァ、と息のキレてる私にくらべて、桃城君の呼吸はまったく乱れてない。。。さすが。。。
「ああでもしねぇと、あの二人、ハナシの一つもできねぇだろ?」
「あ...」
もしかして、桃城君。。。
「そんで、ユカちゃんは俺とデートなっ」
そうじゃないでしょ。。。オイ
「ホラ、折角の景色だ眺めながらハナシでもしようぜ?こっちこいよ」
手すりに腕をのせて、海を眺める

「もしかして桃城君、カノン達の事...
 あぁ!もしかして、グループになったのもそれ!?そうなんでしょ!!」
「おっ、なかなか鋭いじゃん?
 俺がみんなを誘った事にすりゃ、そうそうヘンなウワサも立たねェだろ?」
いや、それはちがうぞ、桃城君
十分!ヘンなウワサになってましたよ、っていうか現在も進行中で、ヘンなウワサが漂ってマス
「それに、正直な所、俺がアイツらをダシに使ったんだけどな」
「なんだそれ?」
「俺は俺でユカちゃんと来たかった、ってコト」

は?

ちょっと待って。。。それはどう言う意味でいってんのかな?
うぅむ。。。と、考え込んでしまった
「おいおい、頼むぜ?
 俺、コレでもこのシチュエーションを最大限に生かした、
 愛の告白、なんてのをしてみたんだけどな?」
なんですって?
「俺の事、嫌いか?」
「いやいや、嫌いも何も...よく知らないし」
「じゃ、今から知ればいい」
ブッ!と思いっきり吹き出してしまった
「ちょっ、それって、チョー傷付くんだけど...」
「あ、いや、ゴメっ...桃城君、それ、すっごくオモシロイ」
ゴメン、ちょっとホントに笑いが止まらないっ
桃城君が呆れた顔で私の事を見てるけど、その顔もオモシロイっ
「それでっ!?」
「は?」
「俺は、フラれちまったのか?」
「はぁ?...あ...」
なんとか笑いを堪えることができるようになり、桃城君を見ると
さっきまでとは顔つきが変わっていた

「俺...ずっと海堂とカノンちゃんのこと見てきたんだ...
 そしたらよ...カノンちゃんにはいつでも、ユカちゃんがついてた
 一緒になって、笑ったり、泣いてた事もあったろ?
 ずっと、いいな、って思ってたんだぜ?」
そのストレートな物言いに、ドキドキしてしまった
「あのさ、つきあってくれ、とかって言うんじゃないんだ...
 俺、部活あるし、そんな一緒に出掛けたりとかも出来ねぇと思うし
 けど、俺の事、少しでいいから、考えてくれねェかな、ってさ...ダメかな?」

「友達」

「あ?」
丸い目を向けた
「特別な友達、でいい?」
桃城君は、あ、と言って、サンキュっな、と、さわやかに笑った
カレシじゃないけど、特別。。。そういう付き合いがあっても、いいよね?


『海堂君は特別なの』


そう言ってたカノン。。。
そこでちょっとだけ、カノンの気持ちがわかったような気がした

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