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よみもの~中等部編
9 カノンは呪文が使えるらしい

15分程、ぶらぶら歩いた頃、高級、って程ではないにしても、
それなりの店構えのレストランに到着した

レストランに入ると、まずその音に驚いた
一言でいえば。。。うるさい。。。
「わぁ〜、すごく混んでるね?お昼にはまだ時間早いのに」
「うん、飲茶ってお昼ご飯のイメージがあるけど、
 朝からお昼にかけて食べるのが、地元民的なの
 でも大丈夫、アンクルタムがちゃんと予約しててくれて、席はちゃんとあるよ」
なになに?カノンってこういう所、慣れてる訳?
「へぇ、おじさん、さまさまだな」
そう言った桃城君に、カノンはにこっ、と笑みをかえした

カノン、お茶は何にする?
ジャスミンか鉄観音
 プアル茶はクセがあって、私、ちょっと苦手だから

何種類か頼んで、飲み比べてみるかい?
じゃあ、菊花茶と、茉莉茶、鉄観音
Ok 後は、ワゴンが回って来たら好きなものを頼むといいよ
うん、ありがとう

「何のハナシ?」
宇宙語をしゃべるカノン達についていけなくても、やっぱり会話の内容は気になる
「まずね、お茶を頼むの
 お茶もいろんな種類があるけど、飲みやすいジャスミン茶かウーロン茶がいいかな、って
 そしたら、アンクルタムが、イロイロ頼んで飲み比べたらいいって」
「へぇ」
桃城君が感心した様に溜め息をもらす
「あと、ワゴンが回って来たら、好きなの貰って
 一つずつ、頼んで、イロイロ食べてみよう?」
「よっしゃぁ、来た来た...
 そんじゃ、カノンちゃん、頼んでくれよ?俺、写真撮るし」
「じゃあ...蒸し物...か...」
カノンはワゴンをみて、うぅん、と、うなったかと思ったら、
湯気のたつワゴンに積まれた蒸籠をじぃっと見つめ。。。



    ...」




「カノンが呪文となえてる」
その呪文で、テーブルの上に、どんどん蒸籠が置かれていく所を見ると、
どうやら、コレは、食べ物召還の呪文らしい
桃城君は、まわってきたワゴンの写真を撮っていた手を止めた
「お、オイ、ユカちゃん...な、なんかカノンちゃん、別人みたいじゃねぇ?」
桃城君がビビってる。。。この、カノンにビビってる!!
あの全国大会を勝ち抜いた、青学テニス部レギュラーの桃城君が、ビビってるっ!!!
そりゃぁ、食べ物を前にしたカノンって、凄いものはあるけど、
私だって、ココまでとは思ってなかった


「あとは...チーチョンファンと...
 あ、揚げ物と焼き物のワゴン来た...春巻きに...フライドワンタン
 アンクル タム、あの、エビとマンゴーが入った春巻きみたいなのなんて言うの?
 チャーシゥソゥ、マントウ、後は...、キャロットケーキとヤムケーキかな」


カノン、北京ダックも頼む?
それだと、予算オーバーしちゃう

あ、また宇宙語。。。

それはおじさんの奢り
 せっかく遠くまで来て、食べて帰らないって手はないだろう?
 オーバーした分は、おじさんが出すから、気にせずに楽しみなさい
 みんなが喜んでくれたら、おじさんもうれしいよ?

いいの!?
もちろん!

呪文と宇宙語で会話をするオジサンと、カノンを眺めてたら、
今日一番の幸せそうなカノンが目の前で声を上げた
「わぁ!!」
「なに?」
あ〜、この笑顔、こっちまで幸せになるわ。。。
「おじさんがね、北京ダックご馳走してくれるって!!」
「お前、いいのかよ?」
浮かれるカノンに、海堂君がぽつり、とコトバを発した
怒ってる訳ではなさそうだけど、やっぱり、凄みがある
「ちゃんとね、私、伝えてるよ?
 ここに来たのは勉強だから、ちゃんと、予算も決めてるって
 でも、折角遠くまで来てそれじゃ、楽しくないでしょって。。。
 オーバーした分はおじさんがご馳走するから、予算気にせずに楽しみなさいって
 みんなが喜んでくれる方が、おじさんもうれしいからって、言ってくれてるの」
その凄みを感じないのか、まったく普通というか、にこにこしながら会話をするカノン
それに、よく見ると、海堂君の表情もやわらかい
。。。ような気がする。。。だけかもしれないけど
「じゃあ、しっかり味わって帰らないとな?」
あれ、笑ってる。。。え。。。海堂君、笑うの?笑えるの!?
「うん」
「デハ、ミンナデ、イタダキマスシマショ」
アンクルタムのその合図で、私達は一斉に『いただきます』と合唱、見事にハモった!

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あきゅろす。
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