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よみもの~中等部編
16 ~side canon

卒業した小学校、青学に進学したのは私一人だけ
よく友達と寄り道して、遊んだ公園
もし青学に受かってなかったら、私、ここの中学校に行ってたんだよ
この先に仲の良かった子の家があるの

「カノンちゃん?」
「あれ〜、や〜〜〜んっ、みきちゃん久しぶり〜〜〜」
さっき、みきちゃん家のコト、はなしてたら、ご本人サマ登場だぁ
あれ、テニスバッグ?
「みきちゃん、もしかしてテニス部なの?早いね、部活?」
「うん、そう、日曜日だっていうのに、ね
 でも一応レギュラーなんだよ、新人戦ももうすぐだしねっ」
「すごいねぇ」
みきちゃんは、ちらちらと、海堂君の事を伺い見る
「カノンちゃんのカレシ?」
えぇっと。。。ここで『うん』って言ってもいいんですか?海堂君?
「すごい、かっこいいじゃんっ
 もしかして、年上?高校生とか?」
あ。。。ナルホド。。。
背も高いし、ちょっと大人っぽいもんね
学校での『オレはいつも戦ってるんだぜ的なカイドークン』を知らなかったら
第一印象は、そうくるのか。。。
「ううん、同級生、学校のクラスメイト
 海堂君、小学校の時のクラスメイトの、みきちゃん」
はは〜ん、みきちゃん、海堂君観察をはじめたね?
「運動部でしょ?」
「あ...ああ...」
「テニス?」
「え...うん」
「みきちゃん、なんでわかるの?」
「ただの当てずっぽう」
そーなの?同じスポーツしてるからわかる、とかじゃなくて?
みきちゃん、かわってなーい
「へぇ、そうか、テニス部かぁ...あそこの男子テニスって有名だよね〜
 毎年、関東大会に出てるし、今年は全国大会優勝でしょ?
 来年は、カレシ君の時代だね〜、お互い部活、頑張ろうね!!」
あーーー、みきちゃん、みきちゃん。。。
いえ、ね、この人も全国大会で活躍したメンバーの一人なんだけどな。。。
当の海堂君の戸惑ってる様子がよくわかって、更に笑いを誘う

みきちゃんが、部活おくれちゃう、と、昔のままの元気さをいっぱいふりまいて
中学の方向へと足早に歩いていったのを見届けた後
たまらなくなって、二人で笑った
「そっかーーーーーっ、海堂君、実は有名人だよね」
「お前だってそうだろ?」
「いえいえいえ、青学テニス部レギュラーの海堂薫クンほどではありませんよ」
「うるせぇよ」
そうか。。。
「ねぇ、海堂君は...」
「うん?」
「...うん...」
そうだよねぇ、青学テニス部のレギュラー。。。だもん
「何だよ?」
「海堂君、かっこいいよね〜、ホントだ、カッコいい」
人気があって当たり前、なんだよね
「なんだそりゃ?」
「なんでもなーーいっ」
カレシ。。。なんて。。。
そんな、浮かれて。。。ダメだよね。。。

もう、あんな目に遭うのはイヤ

急に、浮かれてる自分が、バカみたいに思えた


「おい」
「ん?」
「お前は...
 お前は俺の事、レギュラーだから...その...」
「バカ」
「ば...バカって...」
「バカっ」
そんなの関係ない。。。でしょ。。。

「ご...ごめんっ、俺、そんなつもり...」
「そんなつもりって何!?
 レギュラーの海堂薫じゃないっ!
 海堂君は、海堂君だから、特別なのっ
 レギュラーじゃなくてもっ、テニスをしてなくてもっ」
そう。。。私にとっては。。。
「でも、海堂君は...」
知らないだけで、女の子に人気あるんだよ?
テニス部のレギュラーって、海堂君が考えてる以上に。。。
「俺だって!
 ...俺だって、お前の事...お前だから...」
「なんで...」
私なの
「え?」
「なんで?
 私、海堂君にたくさんいろんなもの貰ってる、
 やさしくしてもらって、心配してもらって
 でも、私、海堂君には何もしてあげられないのに、なんで...」  
「俺だって同じだ...」
「私...」
「そんなこと、ない...俺、いつもお前に勇気、とか、やる気貰ってる」
杏ちゃんの言った通り。。。
「...ごめん...ね」
すぐにムキになる、自分に自信がない証拠だ。。。
「謝んな」
「うん」

「なあ...
 言わなきゃわからない事...って、あるだろ?」
ああ、まただ、杏ちゃんの言う通り
「俺、こんなだから...
 言って欲しいんだ、その...お前のこと...」
言わなきゃ伝わらないコト
そうだった、あの日の言い争いだって、ちゃんと言葉にしておけば
二人とも傷つけ合う事もなかった。。。
やっぱ、ダメじゃん。。。
ぜんぜん学習してないよ、ホント、バカだなぁ、私。。。

海堂君はやさしい
言葉がなくても
ちょっとした仕草で、雰囲気で
気を使ってくれてるのがわかる

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