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よみもの~中等部編
14 ~kaoru

ぼうっと目を開けると、俺は自分のおかれてる状況がすぐには理解できなかった
。。。ああ。。。そうか
夕べは夜通し映画を観てたんだ。。。
カーテンの隙間から漏れる光はまだやわらかい
そんなに遅い時間でもないんだろう

なんだかんだ言って、俺達は結局寝潰れてしまったようだ
それでも、テレビとDVDの電源が切られている所を見ると
俺が先に潰れてしまった、んだろう。。。

しかし。。。
枕を抱いて床に転がってるコイツ。。。まるで行き倒れ
手にはリモコンが握られてて、口は半開きだし
何度か、ヌケたツラを見てきたけど
これは、今迄で一番のマヌケ面、といっていいな。。。
笑い出したい気持ちを必死で押さえる
そこで、俺は重大な事に気付いた

アレ。。。俺、お前のベッドで寝てたのか?
ちゃんと布団もかけてある
それなのに。。。
自分は床で?

「ごめん...な...」
俺はコイツをベッドに移してやろうと起き上がり
更に、重大でトンデモない事に気付く
。。。朝の生理現象。。。
まったく俺の意思とは関係ない
が、コレはいくらなんでも。。。
コイツの前で曝すわけにはいかないだろ。。。

俺はとりあえず、コイツ。。。いや、床に転がってるコイツじゃなくて
コイツ。。。をなんとかしないと。。。
忍者部屋のバスルーム。。。だ

忍者部屋のベッドは使った様子がなく
結局、母さんも下のリビングで一晩過ごしたんだろう
葉末はまだ寝ているらしい
まあ、起こさなくてもいいよな
多分、この家で今起きているのは俺だけだ

朝一で出すものをだしてしまえば、それなりに落ち着いた
それでも、通常通り、とまで収まるのにはもう少し時間がかかるが
さっきよりは、ぜんぜん目立たない
うん、よし。。。
バスルームを出ようとして、考えた。。。
このまま、シャワーを浴びて着替えようか、どうか
アイツを床に転がしっぱなしなのも気が引けるが、
抱き上げて、起こしてしまうよりは、少しでも寝かせておいた方がよくないか?
急いで着替えをとり、昨日よりもさらに急いで熱めのシャワーを浴びた
最短記録更新。。。昨日と今日で、二回も記録を更新、か
寝不足で身体はだるいが、頭はハッキリとしている
濡れた髪を拭きながら、部屋へ戻ると、
ぼーーーーーーーーっと座っているアイツ
俺と目が合うと、ふにゃっと笑って、おはよう、と言った

「ごめん、俺、ベッドとっちまって...お前...」
身体のあちこちをさすったり、ねじりながら、アイツは笑う
「私の勝ち、海堂君、先に寝ちゃったよ?」
もっとふにゃふにゃと笑う
「6時...か、早起きだねぇ、海堂君」
いや、そうじゃないだろ?お前、床で寝てたんだぞ?
「私もシャワー浴びてくる、あ、ドライヤーそこの使って...」
と、言って
「海堂君、ちょっとアッチ向いてて」
え?俺は訳が分からず、でも、アイツの言う事に従うしかなくて。。。
「はい、もういいよ、ドライヤー使っていいからね」
振り返ると、手には、着替えを持っている
ああ、そうか、クローゼットの中は見られたくないよな。。。

アイツはテレビをつけて、部屋を出て行った
俺はぼーっとテレビを眺めながら、髪を乾かす
ドライヤーは、俺が使ってるものよりも、風が強くでて、
いつもより速く乾いた
さっき、忍者部屋のドリンクバーから取り出した、ミネラルウォーターをゆっくりと喉に流し込む
その冷たさに、ブルっと、背筋が震えたが不快ではない
そして、テレビの中で何か言っている女性アナウンサーの顔をながめた

そんなに時間もあけず、アイツは部屋に戻って来た
着替えをすませてはいるが、髪の毛は濡れたまま
小さなドレッサーの前に座って、ぺたぺたと顔にジェルのようなものを塗っている
不思議そうに見る俺に気付いたのか
「あれ、海堂君、顔洗った後、何もつけないの?」
鏡に映る俺に言う
やっぱり女の子なんだな、と、
当たり前なのに、そんな発見もなんだかうれしい
髪の毛をぶんぶんと乾かしながら、たまに鏡に映る俺に向かって、ふにゃっと笑いかける
なんだろうな、すごくうれしい

「ね、はずえクン、何時頃起きるかな?」
「葉末は...そうだな、起こさなければ、9時過ぎまで寝てるヤツだから...」
「そう!」
ふふふ、と、うれしそうに笑う
「朝ご飯、食べにいこうか?」
「あ?」
「近所にね、焼きたてパン、食べられる所あるよ?
 どうせ、お母さん達も当分起きてこないと思うし、朝の散歩、ね?」
「散歩...か...うん、いいな」
「でしょ?」
うん、いいな
こんな何でもない会話もうれしい
さっきから、いろんなことがうれしいんだ。。。

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あきゅろす。
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