[携帯モード] [URL送信]

よみもの~中等部編
side canon 4

試合は、2時間を超えて、相手チームの一人が、熱射病で倒れて棄権し、海堂君達が勝った
あまりにも長い試合で、その上この暑さ、
次のシングルス1は、手塚先輩の試合で、観たかったけど。。。
このままこの強い日差しに照らされていては、ちょっと持たないな、と思い、
一緒に応援に来ていた由香ちゃんとまりちゃんに、ちょっとごめんね、と断って、コートを離れた
もう一度、自動販売機へ行き、ペットボトル入りのスポーツドリンクを買い、東屋のベンチに座った
コンクリートのベンチはひんやりとしていて気持ちがいい
ペットボトルを耳の下に当て、涼をとる

暑くて、ノーミソ内の生命維持以外の機能がはたらいてないんじゃないか、ってくらいに、
ぼけーっとしていると、向こうから海堂君が走ってくるのが見えた
あ、まだ、ちゃんと識別判別能力は少なからず残っているらしいわ。。。

それにしても。。。
あれだけ長い試合の後に、まだ走れるって、どんだけタフなのよ、と、ちょっと呆れてしまう
海堂君は私に気付くと、足を緩めて近づいて来た

「お疲れさま」
私の差し出したタオルハンカチを、素直に受け取り汗を拭う
「それ、もらってもいいか?」
そう言うと、海堂君は私が口を開くのを待たず、
二口程飲んだスポーツドリンクのボトルを取り上げ、少しずつ喉に流し込んでいった
「それ、もう温くなってない?冷たいの、買ってこようか?」
「...あまり冷たいのは飲みにくい」
そんなものなのかな?と、ゆっくりとスポーツドリンクを飲む海堂君を見上げた

ベンチに片足を掛け、ストレッチをはじめる海堂君
それにしても、長い足だなぁ。。。足だけじゃなくて、手も長い
体はほっそりとしてて、顔もちっちゃくて、モデル体系ってこういうのだよね
顔の作りだって、みんな『フツーにしててもコワい』っていうけど、実は整ってるし
これで、猫背気味の姿勢をナントカすれば、ホント、モデルやれるんじゃないかなぁ。。。

「何、みてんだよ?」
そう言われて、ハッとする
「あ、ううん...」
まさかスタイルの良さにみとれて、アホなコト考えてた、なんて正直に言えるはずないでしょっ
「試合、すごかったね?
 あれだけ動いた後なのに、まだ走れるんだ、って...なんかビックリしたから...」
海堂君は、目をぱちぱちさせ、プイッ、と、視線をそらし唇を尖らす
「...自分の限界...試してた」
「そっか...でも、海堂君の限界が来る前に、相手の方に限界がきちゃったみたいね?
 やっぱりすごいな、海堂薫は」
そう言うと、海堂君は、そらした視線を戻し、さっきよりもせわしなく瞬きをした
「限界まで、まだまだ、って感じ?」
「...わかんねぇ、でも...」
「ん?」
フッと、海堂君の口元が緩む
「オイ、手塚部長の応援行くぞ?」
何か、はぐらかされてしまった?
何が言いたかったのかな?私にはわからないけど
今日の試合、これはこれで、海堂君にとっては、収穫があったのかな。。。?

「先、行ってるから...これ、もらってくな」
そういうと、もう少しだけ残っているドリンクのボトルを持ち上げ、コートへと向かう海堂君
その後ろ姿をみながら、やっぱり猫背、どうにかすればいいのに、と、つくづく思った

[*前へ][次へ#]

8/11ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!