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よみもの~中等部編
8 ~canon
連休明けから、たいていの女子がそわそわし始める
理由は『男子テニス部』
うちの男子テニス部は、結構強豪らしく、先日の地区大会を勝ち抜き、もうすぐ都大会がはじまるのだ
ただそれだけなら『別に』って思うんだけど
レギュラーの選手だけが着ることのできる『レギュラージャージ』っていうのがあって、
それがまたカッコいい!
そんで、それだけなら、さらに、だから何?、って思うんだけど
今年のレギュラーは、かなり。。。イケてる
プレー云々じゃなくて、外見が、超イケてる
モチロン、プレーだってイケてるにきまってる
特に2年生レギュラーの、手塚国光先輩と不二周助先輩が並んで立っていると、そこだけ異次元の世界
特別オーラ出しまくりで、巷にあふれている、その辺のファッション雑誌の読者モデルよりもカッコいい
オンナノコ達の黄色い声が飛ぶのは、こりゃもう、仕方ないってモンでしょう
。。。って、コッソリ私もその一人
でも、私って、テニスコートのまわりで、グループできゃいきゃいはしゃぐようなキャラではない
ちょっと、そのノリにはついていけないというか。。。
けど、実はちゃーんとチェックしてる辺りが、私のすごい所
何がどうすごいのか、というのは、ツッこまないでおこう
実は、私の部活部屋、第2音楽教室は、テニスコートがしっかりチェックできる位置にある
だから、レッスンの前や自主練習の際にしっかり窓からチェックする
それでもって、窓に張り付いてみなくても、見渡せちゃうから、他人にそうそう気付かれることはない
ふっふっふ、ここって、特等席だ
ちょっと、遠くて表情までは見えないけど
動いてる手塚先輩や不二先輩が、誰かの頭や体の陰で隠れることなく、しっかりみえるもんね
ふっふっふ、なんかすっごく得した気分になる
みんなには内緒

。。。なんて浮かれてる場合ではない
5月に入ってからも、『悲愴』のレッスンは続いている
たぶんこの曲はプレコンクール用だから、少なくともあと半年は続くんだろう
テクニック的には、ほぼ問題なくなった
でも
今日のレッスンは、今までで、一番最低だったかもしれない、いや、最低だった
もちろん、先生は怒ったり、見捨てるような態度をとったりはしない
この出来の悪い生徒が少しでも、前に進めるようにと、真摯に指導してくださる
レッスンの後、先生が次回レッスンの課題のお話しになったときに、
自分が情けなくて、悔しくて泣けてきてしまった
「奏音ちゃんの、そういう悔しいという気持ちだって、ピアノにのせることはできるのよ?」
そう言ってくださる、やさしい言葉に、涙が止まらない

なんとか落ち着いた頃
「先生は先に帰るけど、もう少し、ピアノに触っていく?」
と、先生は言い残し、教室を出て行かれた
本当に優しい、きっと落ち着くまで、一緒にいて下さったんだな
。。。って、私の次は先輩のレッスンがあったんだ。。。とうに時間はすぎてる
今日は合唱部の練習がないから、第一音楽室でレッスンをされているのかも
先生にも、先輩にも迷惑をかけてしまった。。。

一通り泣いてすっきりしてしまった私
。。。立ち直りはやっ
せっかくの先生や先輩のご好意を無駄にするわけにはいかず、もう少しつめてみようと楽譜を見直した
けどさ、どうすればいい?、この曲
まったく、ぜーんぜん、よくわからない
どうやって感情をのせていいのか。。。
先生は「ゆっくり」とか「はやく」だけでなく
具体的な表現、例えば、誰かを思ってやさしく、とか、沈むように、とか
いろいろと指導してくださるのに、どうしても自分の中で消化できない
お母さんに相談したら
「だから、自分で物語り作っちゃって、ちゃっちゃと弾けばいいんじゃない」
なんて、前と同じことを言う
そんなの、ムリでしょ
『悲愴』っていう物語は、私の物語じゃなく、ベートーベンのものなんだから
それを冒涜するようなマネはできませんっ、キリッ

ふぅ。。。
考えれば考える程、どんどんドツボにはまっていくような気がする、はぁああぁあぁぁあぁ。。。。
よしっ、こんなときは、窓の外の不二先輩☆癒しのオーラで、HPアップ!
ん?。。。MPもアップする気がするし、さすが不二先輩
。。。よっしゃ〜、充電完了〜〜っ

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