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よみもの~中等部編
side canon 1
コンクールはソロの本選も終わり、あとは、連弾部門の本選を残すだけ
ソロ部門では、私と優先輩は、揃って金賞を受賞することができ、
9月の受賞者記念公演では、
コンクールで弾いた曲の中から一曲選び演奏する事になっている
私は『金賞』だけど
優先輩は『順位付きの金賞』
並みいる高校生奏者にまじり、6位の大健闘!
さすが!!我らが優先輩!!!
後輩の私も、ハナが高い、ってモンです♪
拝んじゃおう、もしかしたら、ご利益があるかもしれない

まあ、拝んでばっかりじゃ上手くならないのは、承知の事
とりあえず。。。じゃなくて、全力で
目前の連弾部門の本選と、記念公演へ向けて、レッスン中なのです





。。。海堂君は全国大会前だけど、部活はお休み
今日は前々から、チケットをとって楽しみにしていた、ABCオープン
なんでも有名なテニス選手がたくさん出場するという大会を観戦しにいく

。。。っていうのに、今日に限って。。。

レッスンがギリギリまで長引いて、バスを一本逃してしまった
バスを降りて、ダッシュで地下鉄のホームに走り下りたのに
無情にもあと3歩半手前で、ドアが閉まった
はぁ。。。ついてなぁい。。。
地下鉄の電車の中で、もうイライラが爆発しそうになる
もーーーーーーっ、電車、速く走れ!!
地下鉄を降りて、歩いて20〜25分くらいらしいけど。。。
走るには暑いし、体力もない
しょうがない、タクシーを使おう。。。
「○○スタジアムまでお願いします」
タクシーは2メーター、10分かからずに着いた
それでも、遅刻は遅刻だ。。。うわ〜ん

タクシーを降り、早足で会場まで行く途中、
併設されている屋外のテニスコートで、知ってるユニフォーム姿の人影をみつけた
ちょっと姿勢が違うような気もするけど。。。
うぅん。。。あんなに姿勢良かったっけ?
でも、あのバンダナ頭は。。。海堂君?
と。。。もう一人は誰かな?
テニスコートに近づき、声をかける
「海堂君?」
二人は、私の声にぱっと振り向く
あれ?なんで?海堂君だと思った人は、違う人で、
海堂君は、違う学校の。。。えっと?アレ、RIKKAI UNIV. って、立海大付属中だよね?
あれ?あれれれれ?
なんで、他所の学校のユニフォーム着てるの、あれぇ?
「おや...海堂君、お連れの方がみえたようですね?
 お互い、会場に戻りましょうか?
 今は前座、といっても、折角の試合です」
その人はそういうと、失礼、と一言告げて、更衣室へと向かう
「悪い、着替えてくるから」
「あ、うん...」
なんだろ?なんかだ海堂君、機嫌悪いみたい?

立海大の人は、海堂君よりも先に着替えをすませて出てきた
うわぁ。。。なんか、コッチにまっすぐ来るんだけど
ちょっと、じゃなくて、かなりドキドキしてしまって。。。
べ。。。別にハンサムだから、とか、まあ、カッコいいけど
そんなんじゃなくて、うきゃ〜ぁ
「こ、こんにちはっ」
直立不動で、声はうわずって、すっごい変な人だ、私っ
その人は、えらく知的に見える笑みを浮かべている
それに比べて、私は。。。アホの子。。。
「いいですね?デートはテニス観戦、ですか?」
「は?デート、ですか?」
デート?デートって。。。デート?
ノーミソ、ショート寸前だった、これってデートなの?
そんな慌てた私の頭の中身を知ってか知らずか、その人は、くすり、と笑い
「あなたは海堂君のガールフレンド、でしょう?」
「えっ、いやっ、あのっ、えーーーーっ!?」
ちょっ、ちょっとまって!!だって、ガールフレンドって、私、その位置付け?
そりゃ。。。普通の友達、とはちょっと違う、と思うけど
でも、そんな、世間一般のカレシカノジョとは、全然違う、ような気がするしっ
だいたい、世のカレシカノジョが、テニス観戦をデートに選ぶってヘンじゃない?
あ、でも、サッカーとか、野球観戦する人達もいるから、そうでもないか。。。
じゃなくて〜〜、えぇっと。。。
今度は頭の中だけでなく、たぶん、手振り身振りも変な人全開で。。。
そんな事を必死に頭の中で整理していると、立海大の人は、涼しげな笑い声を立てた
「あなたは楽しい方のようですね?海堂君がうらやましい」
「いえ...あの...」
吃っていると、後ろから名前を呼ばれた
「菊池、行くぞっ」
「おや?海堂君が怒ってるようですよ?
 これ以上ここに居ても、彼の気に障るばかりですから、私は先に失礼します、では、また」
くすり、と、もう一度笑って、海堂君に会釈をし、すたすたと歩き去った

海堂君をみると、すんごい不機嫌な顔でその人をみつめている
いや、この場合は、睨みつけてる、ってカンジ。。。
「ごめんね」
そういうと、目をパチっとひらいて、私をみる
「なんで?」
「もしかして、ここで待っててくれたのかな?って、思って...その、あの人と試合して...」
思ったことを素直に口にした
というか、それくらいしか、おもいつかなかった、といった方が、しっくりくるけど
「それにしても、海堂君、立海大のユニフォーム、似合わないねぇ...
 何で着てたの?あ、着てみたかったとか??」
また海堂君は、目をぱちぱちして、不機嫌な顔を崩した
「当たり前だ、俺は青学の海堂薫だろ?他所のユニフォームが似合ってたまるかよ
 ほら、試合観に行くぞ、これ以上見逃したくねぇもんな?」
「そっだね、チケット、高かったんだから、しっかり観ないとねっ」
その言葉に、まったくだ、と、声を上げて笑う海堂君
わあ、珍しい事もあるもんだ

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