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よみもの~中等部編
ミーティング?
やっぱり、ミーティングはぐだぐだな物だった
というより、ただの雑談会
俺は、練習の合間の息抜き会だ、と、自分を説得するように努める
「薫ちゃん、カノンちゃんと仲直りできて良かったね?」
菊丸先輩がニィっと笑いながら、唐突にそんな事を訊いてきた
まったく部活とは関係ないだろうが?
さすが、ミーティングと言う名の雑談会
「やだな、英二、今頃そんな事言って、ね?」
ね?ってなんスか、不二先輩
「そうっスよ、英二せんぱァい、もうみてるコッチが恥ずかしくなるくらい、仲良し♪じゃないっスか」
俺は、ごいん!と、桃城の頭を殴った
「いってぇな、ホントの事だろうが?テレてんじゃねぇよ」
にしししし、と、下品な笑い方が、癇に障る
「モモ、そんなにからかうもんじゃないよ」
そういう大石先輩だって、苦笑いしてる
「へぇ〜え、海堂先輩、カノジョ、いるんっスか?」
なんだ、憎たらしい口調とその顔は?
「おーちーびーーっ、驚いたかぁ〜」
「驚かないっスよ、ただ、意外だなって思っただけっス」
ニヤニヤ笑いやがって、まったく『クソ生意気』っていうのは、コイツの為にある言葉だ
「ンもうっ、おちび、かわいくないっ」
まったくだ
「仲直りはしたようだが...」
乾先輩がずいっと寄って来た
「で、どうなの?」
菊丸先輩が後ろから、ばさーっと、覆い被さって来た
おんぶのカッコウ。。。もしくは、こなきジジイのカッコウ、ともいう
「どうって...どうもないっスよ?」
まわりの空気が、ぽか〜〜〜ん、となったのが『俺でも』わかった
。。。ってか、それくらいわかる。。。俺でも。。。
「ちょぉ〜っと待って、かいどー...」
「な、なんスか?」
菊丸先輩は俺の両肩に手を置き、顔は、思いっきり何かを『哀れんでいる』
「海堂って...おにぶ?」
首をこてっ、と、横に傾けて、つぶやく
「は?」
言われてるイミがわからないんスけど。。。
そこに居る全員が、はーーーーーーーっ、と、脱力する
約一名だけは、ふふふ、と謎の笑みを浮かべているけど。。。
何だこの展開は?
「いや、フツーさ、カノジョが出来たら、一緒にお昼を食べたり、一緒に帰ったり...」
乾先輩、何言ってんスか?
菊丸先輩がもの凄い期待の目を向けながら、言葉をつなげる
「ほんでもって、お休みの日なんかにはぁ、デートしたりぃ
 手ぇつないでみたり、あんなコトや〜、こんなコトとかぁ、してみたくなったりぃ...ね?」
「はぁ〜?」
「だいたい、テメェ、ナンもシテてねぇってことはねぇだろ?」
「何が?」
俺の声に、周囲の温度が一気に下がり
沈黙、まさに、沈黙が続く



「もしかして、海堂先輩って、ぜんぜんわかってないんじゃないスか、この会話のイミ?」
ぼそりとつぶやく越前に、俺を含めて全員の視線が注がれ
そして、直後には、越前含む、全員の視線が俺に注がれた
「薫ちゃん?キミ達、つきあってからどれくらいになるっけ?」
「別にそんなっ...そんなんじゃないし...」
なんでセリフが尻すぼみになるんだよ、俺っ
「それにしたって、なぁ?」
桃城が、口を尖らせて意味深な言葉を投げかける
でも目は。。。笑ってやがる、クソっ
「奏音ちゃんは、どうおもってるんだろうね?」
不二先輩は、ふふ、と笑うと小首をかしげて俺をみる
「どうって...」
「ってかよ、海堂、お前フツーつきあってもない女と、二人で一緒に出掛けるか?」
「え?なになに、モモ!デート?みたのっ!?」
ざわざわっと、空気が揺れた。。。と思う、たぶん
「いや、この前の休みの日に、偶然みちゃったんスよ
 何か二人して、たのしそぉーに、買い物袋を抱えてて、俺、声かけらんなかった位っスから」
にやにやにやにやにやにや。。。。
そういえば。。。この前、アイツのお母さんから昼食に誘われて。。。
アイツが買い物があるからって、食後にちょっとだけぶらぶらしたんだった
それに、決して二人っきりではない、母さんと葉末、アイツのお母さんだっていた
。。。って、アレ、都心だぞ?
桃城よ、お前こそ何してたんだよ、と、俺はききたい
「いや、それは、家族で食事に誘われて」
「それって、家族公認ってことっ!?」
河村先輩まで。。。飛びつくようなネタっスか!?
だから。。。
なんだか話がどんどんずれていっているような気がするんだけど。。。
「それはプレッシャーだな...
 そうなると、ちょっとカンタンには手、出せないよね」
にっ、と、乾先輩が笑う
「手ェ!?」
俺はマジに驚いた
なんだって!?
テ、って、その。。。だよな!?
っつうか、そんな事、ホントに考えた事もなかったしっ
何てこと考えてるんだ、この人たちはっ!?!?
ってか、今までの会話って。。。
ぐるぐるぐるぐる。。。
「何考えてやがんだよ、このムッツリが」
桃城が、後ろから小突く
ちょっとまてよ、あんなコトって、こんなコトって。。。
衝動で、一度だけ。。。だけど。。。
だっ、だからって、えっ?って、え。。。
えーーーーーーーーーーーーーーーーーっ。。。
「かいどー、かぁいどーーーーぉ?
 かーーおーーーるーーーーーちゃぁあっぁあぁぁぁぁあぁんっ!?」
「うわーーーーっ、海堂がオーバーヒートしたぁ〜〜〜!!!」
「ちょっ、おまっ、マジで、なんもねぇってことかよ?」
「えーーっ、ナンカそれ、カノンちゃんが気の毒ぅ」
「まあ、海堂は真面目だしね、くすっ」
「ふむ、ムッツリっていうよりも、無知、って感じだな、海堂の場合は」
「そんな事言うもんじゃないよ、こういうのは人それぞれなんだし」
「いーーーーーやっ、大石ぃ、ソレは違うぞぉ?」
「はんっ、まだまだっスね、海堂先輩っ」
辺りは、まさに『大爆笑の渦』が沸き起こっていた
なんだ、なんだ、むちゃくちゃ笑われてるぞ、俺。。。

それにしても。。。
俺にとってアイツは、カノジョ?。。。なのか?
ってか、俺って、アイツにとってどういう位置付けなんだ?
でも、俺からもアイツからも、つきあってくれなんて、言った事もない。。。し
かといって、他の友達ともちがう、と思う。。。し
意識してない訳じゃない。。。し
そりゃあ、一緒にいたいと思う時もある。。。し
だからって、あんなコトとかこんなコトって。。。
ぐるぐると、考え込んでると
また後ろからぽこん、と小突かれ、我に返る

「ところで、海堂先輩のカノジョってどんな人なんスか?
 俺、海堂先輩がそういう人と一緒にいるの、一度もみたこと無いっスよ?」
そりゃそうだろ、そうそう一緒に居ないんだから
「そうかい?ミーティングの前にここにいた子だろ?」
。。。って、何で大石先輩までその認識なんスか?
「そんな人、いましたっけ?」
「あ、そっかぁ、おちびちょっと遅れて来たから、あってないんだ?」
そこで、菊丸先輩は、ん?となる
「そーいえばぁ...カノンちゃんって、海堂の試合、観にきたコト、ないよね?
 コート脇でもみたことないし。。。」
だから。。。
「そりゃあ、彼女だってコンクールや発表会で忙しいんだろうし、そんなヒマはないだろう?」
乾先輩、そこまでデータ集めてるんスか?
。。。って、なんの為のデータっスか!?
「丁度今、第2音楽教室で、ピアノを弾いてるんじゃないんスか?」
なぁ、かいど〜と、目尻を思いっきりたらして、アホ面向けてんじゃねぇよ、バカ城
「おちび、覗いてみる?すっごいうまいんだよ」
「俺達、前にもコンクールと文化祭のリハーサルを聴いたことがあるんだよ
 その時は海堂のカノジョだなんて騒いでたけど、冗談だと思ってたんだけどな」
。。。っつうか、カノジョじゃないんだから、河村先輩まで何言ってんスか
「そうだね、去年のコンクールには、大石と海堂と、一緒に聴きに行ったんだよ」
「賞も獲ったし、二人ともすごかったよな」
「えーーっ、俺、そんな事、しらねぇっスよ」
「モモも誘って欲しかった?ふふっ」
「ふぅ〜ん、海堂先輩のカノジョって、結構すごいんだ?」
なんだ?その冷めた口調は
俺の事、バカにしてんのか?
だんだんとあの日。。。
例のリハーサルの時のノリが再現されてるようで、俺はムカついて、ついムキになった
「あっちだって、コンクール前で練習忙しいのに、そんな邪魔したら迷惑じゃないですか!」
「おお〜〜〜、出た!カノジョを想う、カレシ発言ってヤツ?薫ちゃんったら、男前っ」
それなのに、なぜ逆効果なんだ。。。
「そうじゃなくて、俺らだって、練習邪魔されたら...」
ざわざわざわざわ。。。
お前ら、ぜんっぜん、人の話、きいてねぇだろ。。。
「じゃ、さ、音楽室の外なら邪魔になんないでしょっ、で、そこで聴いてみるのはどうかにゃっ?
 おちびに限り、ちょびっと覗いてよし!」
全く通じてねぇ。。。
「そういえば、先日のジュニアコンクールの一次予選に、吉川共々、通過したそうじゃなか?」
「乾は何でも知ってるんだな」
河村先輩のその言葉に、乾先輩はニッと、得意げに口をあげた
「二次予選は確か...」
乾先輩は、ホントはぜったい知っているくせに俺の方をみる
それにつられて、全員が俺に期待の目を。。。というか、プレッシャーをかける
「来週...週末っスよ」
ハァ。。。まったく。。。人をおちょくりやがって。。。

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