こっちにおいで☆ いちっ 俺のクラスには小動物がいる。 と言っても、ハムスターやリス、ウサギなんかじゃなく人間だ。だけど小さいところや警戒心の強いところ、ちょこちょこ動く姿は小動物そのものだ。 名前は新谷初くん。名前も可愛い。 俺は中平翼〈なかひらつばさ〉、サッカー部に所属してる。 初くんはそんな俺のお腹あたりに頭のてっぺんが来るので、たまに視界に入らなくてぶつかっちゃうこともあるから気をつけてんだ! 今日も自分の席にちょこんと座ってぼーっとしている。 ガラガラ 「出席とるぞー」 担任が入って来た。ホストみたいだがいい先生だ。 「休みはいねーな。連絡は特にない」 「せんせーてきとー」 「そんなことねー。お、今日も初はちんまりしてんな〜飯食ってるか?」 こくっ 先生に頭を撫でられている初くん。これもクラスではお馴染みの光景だ。 「よし、先生が飴ちゃんをやろう」 「…ありがと」 「心して食すんだぞ。」 初くんは飴をもらい、心なしか嬉しそうだ。 「中平ー!次体育だぞ」 「おぅ、サンキュー」 1限体育なの忘れてたわ… 今日は俺の大好きなサッカーだから楽しみだ。 いきなりだが俺のクラスの体育は少し変わっている。 何故かというと、初くんがいるからだ。彼は小さいし、人見知りな所もあるから、怖がらないように少しでも楽しんでもらえるようにクラスのみんなで協力している。 「新谷くん、僕と一緒に準備体操しよっか」 …こくっ 準備体操の相手はみんなでローテーションだ。クラス全員、初くんを可愛いがってるからな。 [次へ#] [戻る] |