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恋する動詞で111題!
自惚れる

俺はモテる。
それは、この氷帝学園におる誰でもが知っとる事や。

せやから、彼女なんて頼まんくても出来たし、
それに関するトラブルも悪い噂も多かった。
けど、俺が格好エエんは変わり様の無い事実やし、
そうなるんは仕方ないと思っとった。

せやけど、


俺に好きな子が出来てもうた。


その子は、所謂箱入り娘、みたいな子で、
最低限の自分の回りの事しか知らんかった。


「…あ、おはよう、忍足くん。」
朝、教室へ行くと坂築さんがおった。
本を読んでたらしく、近付いたら挨拶をしてくれた。
「……っおん、おはよう、坂築さん。
俺が笑いかけてやっても、微笑み返されるだけや。

俺に惚れとらんみたいや。

そう思うとるけど、俺に笑い掛けられて惚れん女子はおらん。
やから、きっと坂築さんは
惚れとらんフリをしとるんや。

いい加減坂築さんにそんな態度を取られるんにも、
嫌気がさしてきおった。
やっぱ、好きな女子や。愛して欲しいやん。

せやから放課後、俺は坂築さんを呼び出した。


「なぁに?忍足くん。」
「…なァ、俺坂築さんが好きなんや。」

「………っえ、」
坂築さんは、何故か戸惑う。
大丈夫やで、そない驚かんでも。

別に捕って喰おうっちゅう訳でもないんy「ごめんなさいっ」

…………は、?


「私まだ、忍足くんの事なんも知らないし……」
「だからっ!ごめんなさい………」

「…っ俺、ずっと坂築さんと話しとったし、見とったで?」
―俺と付き合わんとか、勿体ないやん

俺はそう言う。
坂築さんは複雑な顔をした。

「……っ忍足くん、」


自惚れる


「忍足くんが格好良いのは認めるけど、………」

――自惚れない方が、良いよ



その言葉は、俺に深く突き刺さった。

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あきゅろす。
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