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14.人間本気出せばどうにでもなる


こんにちはテスト前です東城凜です。

斎藤くんがあんなことを言ってくれたものだからあれからあたしは毎日必死です。

だって、なんでも願いをきくって!

斎藤くんにあんなことやこんなことしてもらったり斎藤くんとあんなとこでそんなことしたり斎藤くんであんなことやそんなことでこんなことしたり斎藤くんが


「頭大丈夫?凜」

「斎藤くんがあんなことやそんなこ……って、なんだ総司か。邪魔しないでよ」

「僕は完全にいっちゃってた凜を連れ戻してあげたんだけど」

「失礼な!勉強してたんだよ、ほら!」

「なんでテキストに斎藤くん斎藤くんって書きまくってあるの。呪い?」

「違う!ひとえにあたしの愛だよ。斎藤くんへの」

「……一くん可哀相」

「どういう意味だゴルァ!!」


デリカシーのない総司はほっといて、英語の単語帳を開く。
総司は単語帳にたくさんついた付箋を指でなぞる。


「へえ、意外にちゃんと勉強してるんだ」

「まあね!手は抜かないよ、斎藤くんのためだから」

「一くんのためじゃなくて凜のためでしょ」

「そうとも言う」


ちらちらと単語を目で追いながら総司と話していると、総司はあたしの手から単語帳を奪った。


「あ゙っ、何すんの総司!」

「だって凜、全然かまってくれないじゃん。つまんない」

「総司も勉強すればいいじゃん。あっち行って、邪魔邪魔」

「じゃあなにもしない。いるだけなら邪魔にならないでしょ」


そう言って総司はしゃがんで机に腕を置いた。正直、総司の腕が机の全面積の半分以上を占めて、邪魔だ。


「精が出るな、東城」

「あ、斎藤くん!」


総司がむすっと顔をしかめるのを気にせず斎藤くんに向き直る。


「あのね、数学でわからないところがあって…教えてほしいんだけど」

「どの問題だ」

「えっと、これの38ページの……」


斎藤くんに問題を聞き終わったころには、総司の姿はなかった。










「ふはあ……っ!やっと終わったあ…!」

「最後数学とか鬼畜だったよなー」

「平均点は死守できそう?凜」

「んー、数学は多分ぎりぎり。返ってきてみないとわかんないけど」


駅前のファーストフード店にて、剣道部のいつものメンバーで中間テストの打ち上げを兼ねてお昼ご飯。

平助はかなりスッキリした様子でビッグマックにかぶりついた。


「よっしゃ、もうテストのことは忘れて運動会の練習頑張るぜ!」

「あれ、平助余裕じゃん。赤点はありえないってかんじ?」

「わかってねーなあ、総司。答案提出すりゃこっちのもんだぜ!答案返却は明日からだし、今日は忘れていいんだよ」

「…平助、そういうのを開き直りと言うのでは…」

「ま、平助の言う通りだよ!今日だけなんて言わずにテストのことは忘れて、運動会に向かって全力スパークだよ」


あたしは意気揚々とシェイクをすすった。たいていいつもはシェイクは高いからジュースで我慢だけと、今日は自分へのご褒美だ。


「そういえば平助、運動会、今年はスウェーデンリレー誰が出るの?」

「まだ決めてねえな。各クラスで二人だったな」

「あれほど楽な競技もないよね。コスプレして10分以内に校庭一周してくれば全クラス点が入るんだもん」

「お遊び競技ってことでいいんじゃねーの?……つか、その二人なんだけど、クラスの奴らから凜に出てもらえって推されてんだけど。体育係から頼んどけって」

「そっか、平助くん体育係だったよね」

「ちょい待て、なんであたしが」

「凜が援団に入ってないからでしょ。うちのクラスで援団入ってない女子、凜だけだし」

「マジか…。はっきり言ってめんどい。変な衣装だったらヤダし」

「マジで頼む!衣装は明日のホームルームでちゃんと話し合うし、もう一人もちゃんと凜の意見取り入れて決めるから!な?」


手を合わせてせがんでくる平助がなんだかかわいそうで、あたしはしぶしぶ首を縦に振った。





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あきゅろす。
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