オープニング
その時イルミは
ヨミの口からハンター試験という単語が出てくるとは思わなかった。
普段ヨミに関して、外出は極力させなかった両親がよく許したな、と思った。
でもヨミの態度が少しおかしい。
キルの些細な言葉に反応しすぎだと思う。
そして一番気になったのは、キルと遊ぶ約束をしたときだ。
ヨミは嘘をつくとき、首をかしげる癖がある。本人は気付いてないみたいだけど。
その時、その癖が出た。
それはヨミが嘘をついた証拠。
俺は嫌な気がしてヨミをひき止めた。
思いきって聞いてみたら、あきらかに動揺された。
分かりやすすぎ。そんなとこも可愛いけど。
さらに思いきって、前から抱いてた気持ちを打ち明けてみたら、嬉しい返事が返ってきた。
『私もイル兄が好きですよ。』
でも違う。
その好きは家族の「好き」でしょ。
俺のと違う。
もとは血も繋がってないし、最初は「面白そう」だったけど、だんだん気持ちが変わってた。
愛しくみえて可愛く思えた。
妹だからと思ってたけど、違うことに気づいた。
でも、そんなヨミは俺から離れていくんだね。
たぶんヨミはもう帰ってこないつもりだろうけど、俺にはまた会える気がしたから頭を撫でるだけにした。
まだ12歳だからしょうがないか。
次会ったら今度こそ落とそう。
そう決めて見送った。
ヨミが振り返ることはなかった。
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