オープニング
旅立ち@
ヨミがゾルディック家に迎えられ、シルバやイルミに戦い方を教えてもらうようになってから、随分と月日が流れた。
元々ヨミは念が使えたので、念での修行は応用技からとなり、同じく念が使えるイルミと教わることに。
息抜きには、遊びと称したリアル鬼ごっこで追いかけられたり、着替えと言う名のキキョウによる着せ替えゴッコが待っていた。
その他にも、ゾルディック仕様に食事に毒を盛ったり、拷問などにも耐えられように鍛えられていった。
ヨミには素質があり、飲み込みが速く頭も良い、と絶賛だった。
そして、そんなヨミも12歳を迎え今では三人の弟を持つ姉となった。
『お父さん!』
「ん?なんだ?」
今はシルバの部屋で二人向かい合い、話をしている状況だ。
あれからヨミは髪を伸ばし、低めのツインテールという型にはまった。結ぶための赤いリボンは本人も気に入っているようだ。
最初は無表情であったヨミだったが、この6年で随分と感情が出るようになっていた。
そして今は、真剣な顔をしている。
『お父さん、私……ハンター試験を受けてみたいんです。』
「ハンター試験か…。それはまたなぜ。」
『ハンター試験は試験内容がとても難しいと聞きました。
そこで、どれだけ難しいのか私も試してみたいんです。』
「………。」
(行かせない理由もない。むしろ、いい経験になるだろう。)
「よし、いいだろう。今のお前なら合格出来る。」
『!いいんですか!?』
「ああ。気をつけて行ってこい。」
『ありがとうございます!!』
ヨミはシルバに飛び付き精一杯感謝してから、ハンター試験の申込書にサインを貰った。
申込み期限までギリギリだったので、申込書は執事に頼んで出してもらうことにした。
その間にヨミはミルキのもとへ向かう。
コンコン…
『ミル兄、今いいですか?』
ミルキの部屋のドアをノックしてから顔を覗かせて、パソコンの前に座るミルキに聞く。
すると、幼いながらに横に大きいミルキがヨミの方を向いた。
「なんだヨミか。どうした?」
『ミル兄ってパソコンに強いですよね。
ちょっと調べてほしいことがあるんです。』
ミルキは13歳にして家族一機械に強かった。その為、普段は専らパソコンの前に座っているか、爆弾など機械を弄っていた。
「いいけど、何について?」
パソコンの前に座るミルキの斜め後ろに立って、覗きこむような体勢のヨミが答える。
『今年のハンター試験会場。』
「ハンター試験会場?まさかお前、ハンターにでもなるつもりか?」
『はい!お父さんにもさっき許可を貰いました!』
「へぇ~。ってお前、申込書はどうやって手に入れたんだ?」
『お母さんと買い物に出たとき道に落ちてたので、拾ったんです。何処かのうっかりさんのお陰です!』
「お前はラッキーだな…。で、試験会場の事だけどな、あれは毎回場所が変わるらしい。」
『へ、そうなんですか!?』
「当たり前。だから調べようと意味ないぞ。」
『うわぁ~~、どうしよう!』
ヨミは頭を抱えながら部屋のなかを動き回って、出発を控えたまさかの足止めにうろたえている。
そんな姿にミルキが溜め息をつきながら口をひらいた。
「取り敢えず船に乗ったらどうだ?人が集まる場所に行って、情報を集めればいいじゃん?」
『!船か……。なるほど!』
「船なら、二日後の10時発が一番近いな。」
『今調べたんですか!?』
「これくらいチョロいもんさ。」
『二日後ですか…。ここから近いって訳じゃありませんし、今日の夕方家を出て船の中で出発を待つことにします。』
「それがいいな。気をつけてこいよ。」
『はい。ミル兄もお元気で!』
ミルキともハグをして部屋を出て自分の部屋に戻ると、早速荷造りを始める。
着替えやもしもの時の携帯食料など必要最低限のものをカバンに詰め、なるべく軽くなるようにした。
そして始まる、
ヨミの家出。
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