オープニング
加わり
家の前、正確には門の前まで帰ってきた二人。
家に入るにはどうしてもここを通らねばならない。
試しに開けてみるか?と名前を呼ぼうとしたら
まだ名前を聞いてないことに気付いた。
「今更だが、名前はなんだ?
俺はシルバ=ゾルディック。」
シルバに肩車をしてもらっている少女は、首をかしげながら言った。
『ヨミ。ヨミ・ミドリカワ』
「ヨミ…。もしかしてジャポンから来たのか?」
頷くヨミ。
(どうりで可愛いわけだ。ジャポンには美人が多いと聞くからな。)
と、シルバも頷く。
既にオッサンである。
話を戻し、試しの門をやってみることにしたヨミは、シルバの肩からヒョイと降りて 門に手を当てる。
すると、少しずつではあるが確実の1の門が開いた。もう少しで2の門も開くというところだろう。
この年でそれだけのことをやってのける
我が家以外の存在に、シルバは驚きを隠せずにいた。
門を開けミケに会った。
このような動物を目の前にして少しは驚くかと思えば、『攻撃してこないから』と変わらず無表情を続けるヨミ。
確かにあの門から入れば襲っては来ないが、確信をもって断言するヨミに、驚きを通り越し笑うしかなかった。
家に入り、家族を集めて全員にヨミの事を説明すると、まずゾルディック家の妻であるキキョウが大声をあげた。
どうやら初めての女の子で嬉しいらしい。ヨミを抱きしめ頬擦りしている。
シルバが「他に意見はあるか?」と聞くと、
皆「無い」といった表情だった。
心なしか皆嬉しそうである。
そうやって全員一致で、ヨミがゾルディック家の一員として歓迎された。
その後ヨミはシルバに部屋に呼ばれた。
何を話すのかと意気込んでいたヨミだったが、内容は簡単。
「これからどうしたいか」だった。
「何かしたことがあればすればいい。
ただ過ごすだけじゃつまらんからな。」
するとヨミは即答する。
『強くなりたい。』
「それは何故だ?」
『もう誰にも捕まりたくない。
あんな思いしたくない。
だから私は、自分で自分を守れるように強くなりたいんです。』
「………。」
(この年でそこまで考えるヤツは珍しいな。
だが、こいつならおかしくないだろう。)
無表情ながらも真剣な目を見て、シルバは頷く。
「よし、いいだろう。明日から俺たちが付き合ってお前を鍛えてやろう。」
『そこのお兄ちゃんも?』
「ああ、そうだ。なぁ イルミ。」
「なんだ、バレてたの。」
そう言って影から出てきたのは、ヨミの兄なるイルミだった。顔はヨミと同じく無表情である。
「けっこう頑張ったつもりだったんだけどな。」
「いや、かなり上達したな。さすが後継者だ。」
後継者
その言葉にヨミは反応した。
(じゃあこの人がこの家の跡取り。期待されてる人。それはどれだけの力なのだろう。
そして、その人をつくりあげたシルバさんは
どれだけ………。)
まだ小さい脳みそで考えを働かせ
そしてヨミは期待に満ちた目を二人に向けた。
(この人に教えてもらえれば、きっと私も……。)
『明日から、よろしくお願いします!』
ヨミは二人の前に立ち
小さな体でお辞儀をした。
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