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オープニング
見つけ

深夜。
すでに人々は寝静まった時間。
とある豪邸の一室の前で立ち止まる人物がいた。

シルバ=ゾルディック。世界的に有名な暗殺一家の一人。そんな人物が部屋の前で立ち止まる理由。それは、部屋の中心にいる少女の存在のせいだった。

遠くから見ても存在感のあるこの豪邸らしい、広々とした部屋は、人の血やいろいろですっかり赤黒い部屋へと変貌していた。


(何があったんだ…。)


さっき「依頼がある」とこの家のものに呼ばれ来たはいいものの、短時間でその家の者が骸と化してしまっている状況に、うまくついていけないのが正直なところだった。
本来ならば、依頼主が死ねばそこで終了なのだが、今回はそうもいかなかった。


その少女が気になったのだ。


そこら辺に散らばった死骸を跨ぎ避けつつ、中心で立ち尽くす少女に近づく。目の前まで来ると、血で汚れた顔がゆくっり向けられた。目には光が無く、まるで感情が読めない。そして一番驚いたのが、オーラを纏っている事だった。少女はシルバを威嚇し、オーラがチリチリと肌に刺さるような感覚を覚える。


「安心しろ。俺はもう何もしない。」


警戒を解くために話し掛けると、少女は少し睨みながら聞いた。


『誰…?』

「俺は…。」


そこで一度止めて考えてから口を開いた。


「お前を殺すよう頼まれた暗殺者だ。」




×××××××××××××××××





深夜。
すでに人々は寝静まった時間。
そんな時間に一通のメールがゾルディック家に届いた。暗殺の依頼用のアドレスに送られてきたそのメールを、シルバは少しイラつきながら見つめる。


「今から寝たいんだがな…。」




→殺しをお願いしたい。
今すぐ来てくれ。
ターゲットは6歳の少女がだ。
家には少女は一人しかいないから、見つけたらそいつがターゲットだ。
報酬はほしいだけ払う。
だから今すぐ来て助けてkろ。
場所はマットの家だと言えばwかるだろうか。
お願いだkr今すぎてれ、

ソロ=マット





よほど急いでいたのだろう、誤字脱字だらけで読みにくくなっている。

だが条件はよい方だ。

マット家と言えば最近急成長してきた大富豪で有名だが、そんなマット家がゾルディック家に殺しの依頼とは…。
さらに、相手は少女ということと、詳しいことが書かれていないことに疑問が生じるが、仕事は仕事。
シルバは眠くて出そうになるあくびを噛み締めてマット家へと急いだ。


×××××××××××××××




『暗殺……。あなたも私を殺すんですね。』


そう言うと少女の顔が少し穏やかになった気がした。
だがシルバが「もう殺す理由が無くなった」と言うと、再び少女は表情を殺した。


「“あなたも”とは気になるな。どういうことだ?」


膝を立て、少女の目線に合わせて聞くと
少女は無表情のまま答えた。


『私は悪魔なんです。皆は、私が手につけられなくなったから殺そうとした。

だから私は殺される前に殺したんです。』

「なるほど…。」


淡々と答える少女を見て、シルバは考える。


(おそらく彼女は人身売買の商品だったのだろう。
マット家は人間にも目をつけたと聞いたが、本当だったんだな。)


考えながら立ち上がると、少女がシルバの服の裾を掴んで黒い瞳で見つめた。


『私を殺してくれないんですか?』

「!?」

『私を殺して。もう嫌なんです……。』


…人を殺すのは。

と続ける少女の表情は、初めてしっかりと歪んでいた。
するとシルバは、少女の頭に手を乗せて微笑みながら言う。


「殺すことはできないが………、













うちに来るか?」


その言葉に少女は驚き、『え?』と呟く。


「ここより幾分かは、いいと思うぞ。」


ここから出られる。連れ出しれくれる。

そう思い、少女は笑顔で言う。









『はい!』

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あきゅろす。
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