オリジナル小説「暴走Aクラス」
2
「なんだって僕が塾に行かないといけないんだろ?」
さわさわと草花の揺れる音がする中、ぽつりとそんなさみしげな声が聞こえた。
昼間は透き通りそうな程に青だった空も、今は赤より橙に近い太陽により、複雑なグラデーションになっていた。
その、なんとも形容し難い空の下、恭輔は独り。
いや、
八坂恭輔は、一人で
第一リディア学園領の街に向かっていた。
第一リディア学園といえば、世界を支える四つの学園の内、唯一、あちらの側への道が正常に繋がっている学園でもあった。
学園から街までは小さな草原が広がっている。
学園の門からは様々な道が続いているのだが、生憎、街までは草原を抜けるこの道一本しかなかった。
風が吹く、草花が揺れる。草原に名前はなかった。
「なんだって僕が塾に行かないといけないんだろ?」
再び、恭輔は呟いた。
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