親指筆頭
プロローグ
初めて見たのはTVの画面だった。
22インチの画面の中で踊る蒼い人。
欲張りなのか、はたまた馬鹿なのか、刀を片手に3本ずつ……計6本も持っていた。
――変なゲーム
最初の印象がそれだった。
でも使い方も簡単で、あまりゲームが分からない私にでも敵をバッサバッサ斬る事が出来た。
結構気持ちが良いもので、気付けばハマってしまっていた。
一応主人公の一人と思われる彼。
名前を「伊達政宗」と言う。
奥州を統べる竜だ。
歴史好きな私にとっては、なかなか興味深い人物であり、納豆を開発したり、水玉の陣羽織を着ていたりと不思議な人だったようだ。
10年早く生まれていれば、天下が取れた人。
――仕方ない、BASARAでは天下取らせてあげよう!
なんて思ったりした。
私がこのゲームを買ったのは単なる気まぐれ。
好きな声優さんが出ているし……そんな感じ。
今年で20歳になろうかという乙女が何やってんだか、と言われるが、それでも面白いから仕方ない。
会社と家の往復ばかりじゃつまらないでしょ?
そんな私は建築関係の仕事に就いていて、今年で社会人2年目。
賃貸マンションで一人暮らし。
それにしても、最近何だか筆頭が格好良くて……
――こんな人が近くにいたらなぁ
なんて考えるようになった。
まさか、あんな事が起こるなんて夢にも思わないまま……
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