紅い輝き
これで、この地の朱雀は揃ったわけで…。
どうするかな…っと考えてしまう。
何の為にもう一人を呼んだのかも、私にはわからないし…。
「そなた等、妾の姫に力を貸してくれぬか」
私の考えを先読みしたのか、妖艶な笑みを作った楊貴がそう言った。
…ある意味、脅しじゃね!!?
内心そう呟いて、楊貴を盗み見る。
まるで私の言った事が聞こえていたように、楊貴は私に向かってニッコリ微笑んだ。
何考えてんだ…!!?
嫌な汗が額を流れる。
「朱雀…さん??」
「楊貴で良い。
妾の姫から貰った名じゃ」
「では、楊貴さん。
力を貸せ…とはどういう意味ですか??」
そりゃ-誰だって不思議だわなぁ…。
しかも、こいつ等はあの龍の神子のモノだし。
そう想っていると、ヒノエという紅い髪の男が口を開いた。
「ってか、俺等は白龍の神子の八葉だぜっ!!」
ごもっともで…。
楊貴の考えがいまいちわからない。
「ならば、白き龍の神子に許可を得れば宜しいな??
我等の申し出、あの未熟な白き龍は断れまい…」
ヒノエが顔を少し引いて、紅色の瞳を見開く。
「姫…歩けるかえ…??」
うん…っと頷くと、楊貴が微笑んで立ち上がる。
「うぬ等がそう言うのなら、白き龍の神子に問うまでじゃ…」
厳しい顔を作って言う楊貴を見て、ゴクリと生唾を飲み込む。
他の二人もそう見えた。
「楊貴…、自分の力が戻ってないのはわかるけどさ…。
そんな、無理矢理…。
しかも、ここに飛ばされたのだって、白龍達のせいじゃないじゃん!!」
そう言うと、首を左右に振って楊貴が口元を袖で隠す。
私達の会話を聞いていた弁慶とヒノエが顔を見合わせる。
こんな事になったのも、全部奴のせいだ…。
頭の中で、奴にたいする怒りが込み上げる。
「姫も、はよう元の世界に帰って、文句の一つも言いたいじゃろうて…」
良くわかってらっしゃる…。
でも、朱雀の加護を受けてるって事は、他のも居るという事で…鬱になりそう…。
「兎琉さん、皆が居るとこへいかれますか??」
「いちおう、俺からも奴等に言ってやるよ」
さっきから顔を付き合わせていた二人がそう言ってくる。
まぁ…確かに、他の加護を受けている奴等が手を貸してくれた方が良いのは良い…か。
「じゃ…御願いします」
そう言って、まだふらつく身体を弁慶が支えて立たせてくれた。
何だか、この状況…鬱になりそう…。
09/10/24 編集
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