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「同情はいらない」
 イラついた声で言うと、ルリは両手をおれの頬に当てて、呟いた。
「違う。違うよ好樹。ボクは好樹が好きだから。だから好樹と繋がりたいと思ってる」
 恋人って言うのは、告白から始まって、デートして、手繋いで、キスして、海行って、遊園地で遊んで、もうお互いの知らないことなんか無いってなったら、そこでやっとセックスして。
 本当はおれだって、こんなことはしたくない。でも、しなければおれを蝕む激情は積もっていくばかりで。
「好樹、苦しそう………もう1ヶ月近くヤってないんでしょ? そろそろ限界じゃないの」
 孔の奥が熱い。″あいつ″の感覚が戻ってくる。今は何処にいるのか、生きているのかすら分からない男のこと。無理やり弄られて、グチャグチャにされて、おれを壊した男のこと。
「だまれ。いいから、出てけよっ」
「でも―――………分かった。終わったら出てく」
 ルリはそう言って、おれの両腕を片手で纏めあげて、拘束する。素早い手さばきでズボンをずり下げると、下着ごしにそこに触れてきた。
「ちょっ…………やめろ、ルリっ」  
 急速に高まって行く恐怖。まだ勃起もしていないのに荒くなる息遣い。変な汗がどっと出てきた。
「大丈夫。最後までヤんないから。出したら出てくから。大丈夫」
 大丈夫と仕切りに言ってくるルリ。ゆるゆるとおれのに触れてくるルリの指先も、少しだけ震えてるように感じた。
「大丈夫だよ。好樹」


 

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