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 目覚めたのは昼に差し掛かった頃。寝過ぎのためか少し頭が痛い。愛佳さんはバイトで既に居なかったから、机上にあった鍵だけを拝借して出てきた。鍵は次会った時にでも返す。
 それにしても、今日は一段と冷える。さっさと帰って、あたたかい湯船に浸かりたい。
 早足に道を辿りながら首もとの布をかき集めれば、少しだけ寒さが和らぐ。
 暫くひとりで歩いていると、向こうから3人の男がやって来た。外見から判断すれば、不良、かヤンキー。見れば、どの人物にも遠雷の黄色いバングルが見受けられない。そっと腕にあるバングルを袖で隠し、そそくさと彼らの脇を通り抜けようとした。
「おおぉーい!!? にいーちゃん。いーとこに来たなぁ? あ? なあ、俺ら今、お金に困ってんのよ。にいちゃん、ちょっとお小遣いくれねぇ? そーだなぁ、財布の中身全部ちょーだい? ギャハハハハ!!」
 下品で卑劣な奴らに眉が寄る。
(チームに属していない不良は、これだから嫌なんだ。恥も外聞もない)
 ここら一帯の無所属不良は、素行が悪い。チームみたいに自分の誇りのためだけに抗争を繰り広げる不良とは違って、奴らは他人から金と精力を搾り取ることしか頭にない奴らばかりだ。なかには例外もいるが、それもごく一部。めったにお目にかかれるものではない。
「なぁー。なぁに、無視しちゃってんの、殺すぞゴラアァァ!!」
 3人組のリーダーらしき人物に胸ぐらを掴まれる。この通りには今おれたちしかいないから、止めに来る者はいない。例え住民が知ったとしても来ないだろう。誰しも不良には関わりたくないだろうし。
「さっさと、出せっつってんだよ! アア゙ッ!?」


 

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