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 ファミレスの内装はパステルカラーを多用していて明るい。これがもう少しこじんまりとしていれば、もしかすると喫茶店でも通るかもしれない。
 まだそれほど知名度がある店ではないが、あと数年も経てば全国的に支店を展開するだろう。
 そんなファミレスで、おれと朱雷は飲み物を片手に黙りこんでいる。沈黙は好きだが、こうも重たい雰囲気を放っていては気まずい。
 おれの手の中でウーロン茶がゆっくりと流動している。こんな肌寒い日には温かい飲み物を頼べば良かったものを、実にバカなことをした。
 冷えた飲み物を口に含みおもむろに嚥下する。口内の熱でぬるくなったお茶が、食道を通り過ぎるのが心地よい。
 ふいに朱雷が、彼の大きな手のひらで包み込んでいたカップを手離した。カップからは湯気とともにココアの甘いにおいがする。
「なぁ、姫のさー、仲間ってなに?」
 こちらをまっすぐ射ぬく鋭いひとみ。ただそれは、怖い類いのガンつけではない。いかなる虚偽をも許さないという、真剣でいて誠実な目。
 良く見ると朱雷の目の色は真っ黒だった。地毛が黒であるためか、彼の染髪した赤髪は黒っぽい。
「おれの、兄弟であり、友人であり、守るべき人たちです」
 彼らは家族。彼らは絆。彼らは宝。
「ならぁ、信じる人って、なに?」
 それはあまりにも難しい質問だった。
 家族、友人、親戚、恋人………。まるで違う。信じるとは、信頼とは何であるか。
 少し、考えた。
「……………難しいですね」
 血が繋がっていれば裏切らないと言いきれるであろうか。気が置けないから信じられるのだろうか。愛するから盲目でも許されるのだろうか。


 

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