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キミとボク、私と貴方
幼稚園=群れ



「今日はボクの家に来て!」



母上がケーキ焼いてくれたんだ、と言えば、愛は嬉しそうに大きく頷く。

玄関から手を繋いでお隣さん家へ歩く。

しかし、お隣さん家と言っても門まで普通の家が4件並ぶ位先にあるのだ。

門をくぐって玄関まで歩いていれば、色とりどりの季節の花が植えられている。



『きょーちゃんパパ!こんにちは!』


「あぁ、愛ちゃんか、こんにちは

ゆっくりしていくんだよ」


『ありがとー!』



意外にもこれらの花の手入れをしている雲雀の父親と挨拶を交わし、玄関のドアを引けば、今度は母親がやって来る。



「いらっしゃい、愛ちゃん」


『こんにちは、きょーちゃんママ!

お邪魔しますー』



二人で仲良く一緒に手を洗い、まだ十分に手の水を拭ききる前に、雲雀は早く早くと手を引き急かす。

リビングに入れば甘い香りが漂っている。

テーブルにはケーキだけではなく、焼き菓子もある。

ぴょんと椅子に飛び乗る雲雀に、よじ登る愛。

二人が椅子に座ったことを確認して、各々の前にオレンジジュースと切り分けられたケーキの皿が置かれる。

それを合図に手を合わせ、いただきますと言ってケーキを頬張る。



「愛ちゃん、美味しい?」


『おいしーよ、きょーちゃんママ!

おかぁさんより、じょーずだよ!』



そう愛が返事をすれば、嬉しいわ、と言って、リビングを出ていく。

残された二人は、黙々と食べており、皿とフォークの音だけが響く。

ペロリと食べてしまった雲雀は、空になったコップにオレンジジュースを継ぎ足す。



「愛、ボクね、明日から゛ようちえん゛に行くんだ」


『よーちえん?』


「うん、だから明日から、あんまり愛と遊べなくなるんだ」


『きょーちゃんと…?』


「うん」



すると、みるみる内に愛の瞳には涙が溜まってゆく。

ぽたり、ぽたりと食べかけのケーキに染み込む。



「で、でも、でもね愛、ようちえんから帰ってきたら、ボクと一緒に遊ぼ?」



雲雀は服の袖で、愛の涙を拭ってやれば、まだ涙で潤んだ瞳で、雲雀の顔を見る。

『ほんと?』


「うん、やくそく、だよ」


『じゃあ、きょーちゃん帰ってくるまで、ガマンするね!』


「イイ子にしててね」



そう言って愛の頭をくしゃくしゃと撫でてやれば、さっきまで泣いていたのは嘘かのように、笑顔をみせる。












『おかえり!きょーちゃん』


「ただいま」


『よーちえん、たのしい!?』


「群れてた」





『むれ……?』


「愛と一緒にいる方がイイ……」




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