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キミとボク、私と貴方
許嫁



「こんな泥だらけになって……

ケガはないかい?」


『だいじょーぶ!

でもきょーちゃんが』



雲雀にハンカチで泥を拭われながら、チラリと見上げる。



「ボクは大丈夫だよ

ごめんね、こんな泥だらけにしちゃって」



『きょーちゃんのせいじゃ、ないよ!

きょーちゃんパパ、おくすり、もってない?』


「家に帰ろうか」




二人ではぁいと返事をして、手を繋いで雲雀の父の後を付いて行く。





『きょーちゃん、いいなずけ、ってなぁに?』


「愛はボクのお嫁さんって事だよ」


『ふぅん…………じゃあ、あたし、ずっときょーちゃんと、いっしょ?』


「うん、愛は泣き虫で弱いから、ボクがずっと守ってあげるね」


『えへへー』





―――――――――――――――
―――――――――――



『おかあさぁん』



娘に呼び掛けられ、洗濯物を畳む手を止める。

心なしかいつもより嬉しそうな顔に、今日は雲雀さん家の息子さんと何をしたのだろうと考える。



『あたしね、きょーちゃんの、いいなずけ、なんだよ!』


「?誰から聞いたの?」


『きょーちゃん!』



二人を許嫁としようと話したのはつい先日のこと。

しかし、まだ幼い二人に今教える必要は無いだろうと決めていたはずなのだ。

しかし、知ってしまったのなら仕方がないと、愛に話し出す。



「許嫁、って何か知ってる?」


『うん!きょーちゃんとずっといっしょ、ってきょーちゃん、おしえてくれた!』



それを聞いて、ふふ、と笑う。



「そうね、恭弥くんとずっと一緒よ

愛は恭弥くんのこと、好き?」



そう問いかければ、愛はにっこりと笑ってみせる。



『だぁいすき!!』
















「大好きだよ」


「それはわかったから…」



その頃、雲雀家では何故まだ話していないのに息子が許嫁の話を知っているのか、尋ねられていた。



「じゃあ良いでしょ?何か問題あるの?

大体、勝手に僕たちを許嫁にしたのはそっちだし」


「聞いていたのか?」


「あれだけ大きい声で言ってたら気になるでしょ」



そう言ってため息をつく。

その表情はいかにも不機嫌を表している。



「じゃあ、どうしてお前は嫌そうな顔をしているんだ」


「だって……」



小さく呟き、俯いてしまう。

その顔はみるみる紅くなってゆく。



「そんなことしなくても、僕は愛とケッコン、するのに…」



人に決められて無理矢理一緒になるみたいで嫌だ、と言い、それきり黙ってしまう。

そんないじらしい姿に両親は顔を見合わせてクスリと笑う。



「そうね、ちょっと心配のし過ぎだったかもしれないわね」


「まぁそうかもしれんな…

いいか、お前は愛ちゃんを守る義務があるようなものだからな

今日みたいに守ってあげなさい」



「うん!

それでね、父上…

僕、もっと強くなりたいから、なにか武器がほしいんだ」


「武器…そうか、それじゃあ、明日は一緒に探しに行くか」


「ありがとう!」













こうして無事、雲雀少年はトンファーを手に入れましたとさ。





『き、きょーちゃん、かっこいいね、それ!』


「愛を守るためなんだよ!」


『うわぁい!』




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