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妖怪少女、花子ちゃん
花子と八又


東京都要界町にある謎の探偵事務所。
その探偵事務所は「怪奇な現象も解決する」と言う噂があった…。


茶色の長髪に可愛らしい黒目色の女性が、寂れたビルの中に足を運ぶ。

壁には所々ヒビがあり、廊下と階段を照らす電球も余り明るくない。そんなビルの中に何があると言うのだろうか?

「…ここだ…」

女性は白い背景に、赤色の文字で書いた横長の長方形の看板を見て呟いた。

『花子探偵事務所→』

矢印の方向を見れば、これまた赤色の扉がまるで女性を待ち構えていたかのようにあった。

「友人が言ってた探偵事務所…。でも、本当に怪奇な現象を解決出来るのかな…」

だがここまで来ては帰ることは出来ない。女性は意を決して思い切きり赤色の扉を開けた。

中はいたって普通の事務所だった。
女性はおどろおどろしい事務所じゃないことに少しホッとしながらも中に入る。
黒色のソファが二つ、見合っているその間に長方形の茶色のテーブルがある。
書斎らしき机もあるのを見て、女性は「普通の事務所だ」と思った。

その時、

「………誰だ」
「きゃあ!!?」

いつの間に居たのか、女性の後ろに男性が立っていた。

黒色のスーツをきちんと着ており、銀髪の長髪はポニーテールにして結ってある。顔と手を見ると茶褐色の肌に、目はサングラスをしていて見えないが、顔立ちは整っている美形だ。

「えと…事務所の人ですか?」
「ああ。依頼人か?」

偉そうな人だなぁ。
女性は心の中でそう呟くと、

「あ!お客様だ!」

男性の後ろから、まだ6歳くらいの女の子が現れた。

黒髪のおかっぱに、セーラー服のような服と半ズボンをしている。
丸い目は赤色。可愛らしいただの女の子にしかみえない。

「あの…」
「私、花子!」
「花子ちゃん?」
「うん!」

女性は花子の笑顔に綻ぶ。
すると男性は花子を抱き抱えると女性に尋ねる。サングラスをしているとはいえ、背中から発するただならぬ気配に女性は少し後ずさりする。

「依頼人かと聞いているのだ。」
「は、はい!」
「駄目だよ八又。お客様が怖がってる。」

花子が八又と言う男性に叱る。そこも可愛いと思ってしまった。

「貴女の名前は?」
「わ、私、緑川静香と言います。大学生です。」
「静香お姉ちゃん、立ったままじゃなんだから、ソファに座って話そうよ。」
「は、はあ。」

静香と花子と八又はソファに座る。ちなみに花子と八又は静香と見合って座っている。

「ねえ、静香お姉ちゃんはどうしてこの事務所に来たの?」
「…実は、私の幼なじみが一ヶ月前に事故で死んでから、変な現象が起こるんです…」

緑川静香「21歳」。大学生。

静香は子供の時から仲良しだった「赤井麻矢」が飲酒運転で犠牲になり死亡。
だがその日から静香の周りでは怪奇な現象が起こるようになったのだ。

家具が勝手に動く、水道を捻ってもいないのに水があふれ出す、窓ガラスが割れるなど、傷を負ったこともあった。

「それ、ポルターガイストだよ。」
「ぽ、ポルターガイスト?」
「物が勝手に動く霊的現象だよ。」
「霊的…じゃあやっぱり幽霊の仕業ですか?」
「うーん、今はわからないけど…」

花子は顎に手をそえると、八又は花子にこう言った。

「花子、一回こいつの家に行ったらどうだ?」
「!そっか!八又頭良い!」

…静香は今になって、この事務所でよかったのか…そう思ってしまった…。





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あきゅろす。
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