小説
淋しがりワンコのひとりあそび (前編)ナツキ
もう2日もどちらにも触ってもらってない。
いや、頭を撫でたり頬を撫でたり、そういう日常的なスキンシップはいつも通りだ。相変わらず可愛がってくれていて、そこは俺も大いに満足だ。優しい愛情はたくさんもらっている。
そういう事じゃなくて 俺が言いたいのは…
「 エロい事されたい。(もしくはしたい。)」
PCでちょっとエロい動画を見て一人で抜こうと思ったけど そういう時に限って二人の優しい笑顔やヤらしい手つきや 俺を貪って舐め回してくれる時の唇をてらてらに滑らせてた淫靡さを思い出して、一瞬気分が高揚するものの 結局自身を扱いてるのが自分の右手だと思い出し虚しく…。
…駄目だ。
俺、やっぱり一人でやんの向かねえわ。
そう、半ば諦めてため息混じりに手を止める。
ぼんやり動画の中の若い男の痴態を眺める。 どこかしらが慧人に似ている気がして、結構お気に入りのやつだったのに。
今夜も二人は仕事だ。
俺は一人で留守番。
寂しいってよりつまんねえだけなんだけど…いや、やっぱりちょっとは…正直言うとだいぶ寂しい。
「 …つまんねえよお…レイジぃ 慧人ぉ…。」
今頃 あの店の中で女の機嫌でも取ってんのかと思うと ちょっとムカつく。
…かと言って 別に客に嫉妬なんかしねぇけどな。
あくまで仕事だってのは俺だって理解してる。慧人はフレンドリーな営業ではあるけど公私の切り替えははっきり分けて、客に恋愛感情とか持つ事はまず無いし、レイジはレイジでもっとドライだ。優しい顔はしてても興味の対象以外には基本クールだ。仕事以外で客に構う事はまず無いし 同伴以外で店外なんて冗談だろってスタンス。
レイジはホストとしてと言うより男としての自分の価値を知り抜いている。
あの優しげな、おとぎ話の王子みてえなルックスは あの計算高さを隠して余りある隠れ蓑だ。
そっけなく接したって あいつが話しかけてやるだけで女はのぼせ上がるんだ。別に優しくされた訳じゃなく、普通に話しただけで。
でもそれって水商売の人間には喉から手が出る程欲しいスキルだろうな。
選ばれた人間だけが可能な営業スタイルだ。 ある意味オラオラ営業なんじゃないのか、あれも。
一人で留守番してる時に二人の事を考え出すと 何だかモヤモヤが止まらなくなって、苛々して 次には淋しくなって、どうにもならなくなって慧人の部屋に行ってベッドに潜った。
枕からも掛布団からも慧人の匂いが微かにして、胸がじんわり暖かくなって ちょっと気分がましになって来る。
しばらくすると凹んでたのが嘘のように慧人の匂いに反応した俺の分身。
何日か前に抱いた時の、突き上げる度に悲鳴のようによがり啼いた濡れた声を思い出して とりあえず抜いた。
慧人の腰は細くてエロい。 尻も小さくて、肉付きがあまり無くて華奢で、でもその歳に似合わない未成熟さを残した肉体を好きにするのは凄く興奮する。出会った頃には慧人は高校生だった。ベッドで乱れて下りた前髪が幼くて あの頃のままの慧人を抱いてるみたいな気になって啼かせるだけ啼かせちまうと言うか。
…だいたいあの童顔は反則だ。俺より歳上のくせによ。 …可愛いったらないぜ。
そうしてがっついた後にはまたガッツリ俺がレイジに掘られるから まあ因果応報(?)と言うか 願ったり叶ったりと言うか…。
… ああああ 抜いても抜いても欲求不満だ!
やっぱり相手が居ない事には!そう思いながら手を洗い、またPCに向かい 色々見ていたら ふと思い付いてしまった。
さっきの男優が尻に何か挿入れていたのを思い出し、そういう類いを探してみようと思いついた訳だ。
とりあえずそれらしいのを検索してみると…
「 … 結構あんだな…。」
静音の高性能なローターやら小型のやら 尻用のアナルパールやら… そして見つけてしまった。
「 … うわ… これってサイズ的にレイジと同じくらいじゃん… 」
カリの張り具合や 反りの感じや… この黒光りしたいやらしいボディもなかなか…。いや、レイジのはこんなに黒くなんかねえけど。もっとレイジらしく美チンだけど。
…でもでかさや形は良く似てる。
( … スイッチひとつで強弱振動思いのまま…。)
中で暴れ狂ってくれるらしい。
これを挿入して 動かしたら…
「 … どんな感じなんだろな…。」
どんだけ気持ち良くなれるんだろう。
もしかすると 一人の淋しさが紛れるかも知れない。
ほんの出来心。
それがあんなにクセになるなんて…。
その時には想像もしていなかった俺だった。
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