小説
取り上げないで 1(ナツキ)
「 …そんなにそいつが好きなのか…?」
真剣な顔で俺を見つめる恋人に俺はこくり と頷く。残酷な事だとわかってる。
恋人はきつく眉を寄せて、悲しげに俺に抱かれたこいつを見た。
「 …俺より… そんな無機物が… 」
「 いや、レイジのちんこのがもっと好きだ。勃ってれば。」
「 … まあ そいつは常に勃ってるもんな…。」
「 こいつは見所がある。」
「 … そっか…。」
呆れたように俺の腕の中のレイジ2号を見つめるレイジ。
俺は取り上げられたくなくてレイジ2号をぎゅうぎゅう抱き締めていた。必死だ。
慧人もレイジも居ない夜、俺を慰めてくれるのはこいつだけ。
節操無しに誰かれ構わず抱いてた昔と違って、もう浮気とかいう真似は出来ないし する気も無い。俺は隠し事が出来ないタイプだと自覚があるし、それ以前に もし…もし、レイジにバレたりしたら…。全くお前はしょうがねえなあ、次やったら別れるからな〜、とか静かに怒りながらもそう言ってくれそうな慧人はともかく、レイジは…。
… 俺にも覚えはある。俺だって二人のどちらかに他の男や女の影がちらつこうものなら 瞬時に殺意を持つだろうし、許せないだろう。 それに俺たちは互いに執着している。
特にレイジは俺と慧人を抱く側だから より所有欲がある筈だ。死ぬまで自分のものだと思ってるかもしれない。
こいつ こんなシレッとクールに見えて、心の核の部分は物凄く熱いんだ。
付き合って心を許してる人間にしか見せる事の無い部分。
どろどろした嫉妬と、火傷しそうな程熱い熱情と 底無しに心地よく甘やかされる優しさ。
…だからこそ、その反動が怖い。
一度でも 少しでも 裏切れば…
「 …表には出られなくなるかもしんねえなあ…。」
「 ん? 誰が?」
思わず遠くを見つめ呟いてしまったらレイジに聞き咎められた。しまったな。
「 …いや、何でもねえ。」
一瞬ひやっとしたが 心の中で考えただけの事だ。わかる筈がねえ。
そう 思っていたのに。
「 …ナツキ。わかってるだろうけどさ。……もし、その無機物に物足りなくなって浮気なんかしたら…、… お前犯り殺すからな。」
「 えっ!」
「 …何、その珍しい嬉々とした顔。」
いや、ちょっとだけ期待が…。
「 …言っとくけど 気持ち良いだけの事されると思ったら大間違いだかんな。…痛くて苦しいって泣き入っても許さねえから。」
「 ぅっ… 」
それは何か嫌だ
レイジの目が細められ、酷薄な光を宿して冷たく俺を見た。
「 目を潰して手足を折って舌を切って真っ暗な部屋にじ込めてやる。」
耳だけは生かしておいてやる。俺の言う事 聞こえなきゃ不便だもんな
そんな事をどこか楽しそうな風に語るレイジ。
「 俺が一生閉じ込めて抱いてやる。二度と裏切れないようにな。 ナツキは気持ち良くなれれば良いんだから不満は無いだろ?」
「 …おおありだ。」
イカれた事すらっすら抜かしやがって。
怖ぇわ。
こいつの場合 半分は冗談じゃないのがわかるから怖ぇんだよ。
もう幾度となく抱かれてるのに 回を増す毎にレイジは俺に対する執着を深めているように見える。
それは既に慧人に対する感情に追いついている筈だ。
優しげに見えてレイジはヤバい奴だ。
まず 家族をいっぺんに亡くしてるから、情をかけた人間 つまり恋人に対する想いも執着も半端ない。
二度と大事なものを失くしたくない。
そう 強く願っている。
こいつのテリトリーに一度踏み込んだら、もう死ぬまで抜けられそうにない。最近つくづくそう思う。
「 …まず、気持ち良くなれさえすればってのが違う。人を淫乱か馬鹿犬みてえに言うな。」
「 …あれ?どっちもお前の代名詞じゃね?」
「 … 」
た 確かにそんなん言われてばっかだけど。
「 俺の身体はそんなにひどいのか…。」
思わず呟きが漏れると、レイジがそれに答えた。
「 ある意味理想だ。」
「 …どゆ意味…?」
「 お前の身体が最高って事だ。」
「 … 」
淫乱馬鹿言われた後にそんなん言われてもな。意味がわかんねえ。
「 何だその微妙な不満顔は。…俺の前でだけどんどん盛れって事だよ。他のにまでその身体見せたり足開きやがるようになったら最悪だけどな。」
「 ああ なるほど…。」
男ならではの勝手なアレだ、理屈。俺だってそうだ。
「 男なんだからわかるだろ。そういう独占欲。」
レイジ2号を胸に抱えたままの俺の腰を引き寄せ抱き締めるレイジ。
耳元に甘い声で囁かれてぞくりと肌が粟立った。
「 っ …ぁ、レイジ…」
そのままレイジの唇が耳朶を食んで、柔らかく歯を立てられてぬるい舌を穴まで這わされる。 腰を拘束していた手が不穏な動きで尻を撫でていたかと思うと スゥエットの中に侵入してきて尻の割れ目の溝を指がなぞり降りて行く。
ゾクゾクと鳥肌が止まらない。気持ち良い方の意味で。
「 …レイジ…っ、悪戯 すんな…、」
「 … 可愛いなあ…。そんな顔 絶対他の奴に見せたりすんなよ。」
尻の孔の周りを指で刺激して弄りながら熱っぽく俺を見て、頬をべろり と舐め上げられた。
喰われそうだ。
俺なんかの何処が可愛いんだ
でっかい厳つい色黒の男が 女みてえにあんあん言っても気持ち悪いだけだろうによ。
それなのにレイジはこんな俺を可愛いと言って 俺が泣いたり声を抑えられなくなればなる程喜ぶ。
なんて変わった趣味の奴なんだ。
今だって すげえ楽しそうに俺を…
「 なぁ、ナツキ。ソイツ、取り上げないからさ。…見せてくんない?」
弄られて息が乱れる俺の唇をレイジが舐めて …そんな事を言い出す。
「 ぇ… 何? …ひぁっ、」
レイジの手が片方前に回り、半分勃ち上がりかけた俺のペニスをぎゅ、と握る。
「 …あっつい…、ナツキの。相変わらず硬くて太いな。…お前のお気に入りみてえに黒光りしてる。」
先端を指にぐりぐり撫で回され 摘ままれ 揉まれるともう俺のペニスは感じ過ぎて完勃ちした。 何でこいつの指ってこんなイヤらしく動くんだ。気持ち良いんだよバカヤロ。
「 ん、ンッ … あ…っ、れい… 」
「 ほんとおっき…。これがさ、俺に犯られながらどんどんガチガチになってブラブラ揺れてんの見るの好きだよ。…えっろい。」
「 ぁ、ぅあ、く…っ 」
そんな事考えながら抱かれてたのかと思うと… 思うと…
余計たぎっちまうじゃねえかよ!
もうあんあん喘ぐしか出来ない俺のペニスをやわやわと握り、それから首筋に吸い付くレイジ。
早く、早く扱いてくれってば。激しく擦って、その手で…
「 この可愛い尻にさ、コイツ挿入れてみてよ。 …そしたらその後はぐちゃぐちゃにしてやるからさ。」
「 …え、 やっ… 」
「 …没収するよ?」
「 … やっ…ンッ 」
レイジに視姦されながらレイジ2号に犯されろってか…
… 良いかも。
玩具相手に悶える俺を見たら退かれるかと思ったけど このぶんだとレイジは燃える一方な気がするし。
俺は微かに頷くと レイジ2号を握りしめた。
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