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タロット
V.女帝〜蒼左国〜

勇久・猛・時恵・奏は、すぐに馬に乗り蒼左国《そうさこく》へとむかった。
「蒼左国の城内から煙が上がっています。」
力子の言葉で勇久は、すぐに馬を準備させた。
時恵も行くことにしたが馬に乗るのは、はじめてなので勇久が操る馬に乗せてもらった。
勇久は、帝服ではなく街であった服に変えていた。
帝自らが行くと言うことで軍師補佐の猛は、反対したが勇久になだめられ自分も行くと言う承諾で城を出た。
隣国の奇襲により紅右国《こうゆうこく》も警戒体勢に入った。
馬のひづめの音と揺れだけが包み込んだ。
流れる景色を眺めながら時恵は、ふっと勇久を見た。勇久の顔は、不安と焦りの顔だった。
それもそのはずである。蒼左国には、双子の姉・朝妃がいるのだった。
蒼左国についた4人が見たのは、城門が閉まった城であった。
「おかしいですわ。閉まっているなんて…」
手綱を持ったまま奏は呟いた。
「ここ以外に入口は、ないのか?」
猛の問い掛けに
「ええ。ないわ。わたくしがいない間に…」
奏は、唇をかみ締めて馬から降りた。
「力子を連れてくるべきだった。どうしますか?力子を連れてきますか?勇久様?」
馬から降りた猛が城門を睨みつける勇久に話しかけた。
「猛。弓を貸してくれ」
「な、何をするおつもりですか?」
猛は、自分の馬についていた勇久の弓矢を見つめた。
「奏…いいか?」
勇久は、馬から降り猛から弓矢を受け取り奏に問い掛けた。
「はい。お願いします。」
勇久がやろうとしていることがわかっているからこその返答だった。
時恵は、訝しげに首を傾けた。
「時恵…離れていてください。」
馬から降ろされた時恵に勇久は、微笑んでから告げた。
勇久は、ゆっくり弓矢をかまえた。
勇久を包みこむ光を時恵は、見た。
朱色の髪が揺れ勇久の弓矢が放たれた。
パーン
バーン
矢を射ったと思った途端城門は、矢により大きな穴が開いた。
「す、すご〜い」


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あきゅろす。
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