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A
部活が終わって着替えていると、携帯がなった。

誰かと画面を見ると"父"の文字が。

「もしもし、お父さんどうしたの?」

父「奏、今すぐ帰ってこれるか!?」

「うん?今部活終わって…」

父「ばあちゃんが…!」

「え…?」



焦った父から聞かされたのは大阪に住んでいる祖母が怪我をしたという知らせだった。

先輩に挨拶もせずに部室を飛び出し、家に走る。

「ただいま!!」

「お姉ちゃんっ」

父「奏、すまない」

「大丈夫だよ、話したい事って?」

父「ばあちゃんは骨を折ってしまって、介護が必要だ。」

「うん」

父「それと…お父さんな…大阪に転勤になった」

「こんな時期に?」

父「ああ」

「でも、お母さんは仕事から手が離せない。お父さんも仕事があるからいつでもおばあちゃんの世話ができない…ってことかな?」

父「ああ…」

「それで、私か涼ちゃんについてきてほしい。」

父「無理に…とは言わない。」


しばらく、沈黙が続いた。


「私、行くよ」

沈黙を破ったのは私。

「お姉ちゃん!?」

父「いいのか…?」

「うん、でも…転校しなくちゃいけないよね?」

父「ああ、大阪では四天宝寺中に通うことになる。」

「わかった、いつから行くの?」
父「出来れば今週末に…」

「じゃあ、準備しなくちゃ」


部屋に行ってくると父と涼ちゃんに告げ、部屋に向かい携帯を握った。


「電話して…いいかな…」

携帯を開き、電話帳を開く。

や行の中にある名前を選び通話ボタンを押した。


プルルルル

耳元でなるコール音に少し緊急する。


幸『もしもし、奏?』

「突然、電話して…すみません」

幸『何かあったの?』

「いきなりですが私、大阪に引っ越すことになりました。」

幸『いきなりだね…』

「はい…あの」

幸『ん?』

「幸村部長…私が」

幸『…?』

「私が転校してしまって会えなくなっても、電話していいですか?」

幸『いいよ。てか、してこなきゃこっちからするさ』

「ふふふ」

幸『ねぇ、今から奏の家行っていい?』

「なんでですか?」

幸『なんとなく』

「別にいいですけど…」

幸『じゃあ、待ってて』


「はい」


一度電話をきる。
それと同時に「お姉ちゃん」と涼ちゃんが部屋にきた。

「お姉ちゃん、本当に行くの?」

「うん」

「部長さんと離れることになるんだよ?」

「うん。ねぇ、涼ちゃん」

「なに?」

「ただの先輩って思えなくてさ、その人といる時だけドキドキが止まんないの」

「…うん」

「それって"好き"なのかな?」

「うん、そうだよ」

少し涙目になっている妹にお礼を言う。

「そっか、ありがとう」

「ううん。」

「あ、幸村部長が家に来るって。」

「そうなんだ。」

「涼ちゃん、やっぱり転校直前の女子に告られたら迷惑かな?」

「へ?」

「いやいや、なんもないよー。ははははははははははは」


「(この症状は…!?)」

ピンポーン

「あ、幸村部長だ。行ってきまーす」

ばたん

「…ショックがおっきすぎてパニックになってるね、アレは」

涼以外誰もいない部屋で呟いた。





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