I
帰りの電車のなかで涼ちゃんは緊張がとけたのか、仁王先輩の肩にもたれて眠っている。
「仁王先輩、涼ちゃんがすみません。」
仁「ん?いや、全然かまわんよ。」
幸「奏も眠いなら俺にもたれなよ。」
「いいですよ、眠くないですから。」
幸「いいから、いいから。」
強引に幸村部長の肩にもたれるような形にされる。
「いいですってば!!!」
幸「ぶぅ〜」
しばらく沈黙が続きます。
幸「ねぇ、奏。」
「はい?」
幸「これからさ、入れ代わるなら俺には言っといてよ。いつもみたいにイタズラしちゃったじゃないか」
「すみません、って涼ちゃんに何したんですか!?」
幸「えーと、おはようのハグに昼食のハグにお昼休みに…」
「な何てことを!!」
幸「えへっ」
数多くのセクハラに涼ちゃんはパンクしたのか…。
幸「なんかするたびに『私には心に決めた人がぁ!!』って叫ぶんだもん。誰だって分かるよ。仁王は最初から分かってたみたいだけど。」
「そうなんですか?」
仁「ぷり。」
「…は?」
仁「ああ、3年前と全然変わってなかったからな。」
「すごいですよね、私は覚えてなかったのに涼ちゃんはちゃんと覚えてるなんて。」
仁「お?やきもちか奏?」
「いえ、全然これっぽっちもやきもちなんかやいてません。」
仁「冷たいやつじゃのぅ」
「ふふふ」
やっぱり私には立海の方がいいな。
青学も楽しかったけど、何かが物足りなかったし…。
私は立海がいいかな。
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