B
第三試合、石田先輩と青学の河村さんの試合。
「うわぁぁぁあ!」
人がテニスで吹っ飛ぶってあるんですか。
思わず、目をこする。
「タカさん!」
「河村先輩っ」
青学のベンチからは河村さんを呼ぶ声。
そんなとき。
「河村って青学のお荷物なんでしょう?」
って声が聞こえた。
「財前、言葉には気い付けなさい」
「ホンマのことやろ」
青学の人にも聞こえてたみたいで、「なにっ」って怒ってる人がいる。
白石先輩も注意してるけど、なんか…
ばちんっ
「?」
気がつけば、財前先輩のほっぺを叩いてました。
『さっきのは酷いと思います。』
きょとんとしてる財前先輩。
『ご、ごめんなさい。ほっぺ叩いて』
「…別にいいわ。」
下向いてしまった。
ああああ、またやってしまった。
また、真田先輩に怒ったときみたいにやってしまった。
すぐ手が出ちゃう。
『ハァ…』
何度も飛んでいく、河村さん。
青学の人達がキャッチしては、コートに立つ河村さんは凄いと思います。
結局、この試合は石田先輩の怪我による棄権で青学の勝ち。
「奏、ちょっと一緒に来てくれん?」
『はい?』
試合が終わったあと、謙也先輩に呼ばれた。
「ト○ロの絵も持ってき。描いたんやろ?」
『なんで知ってるんですか?』
「いつもすぐ描いたるやん」
にこっと笑って謙也先輩が歩き出した。
よくわからないが、ト○ロの絵を持ってついて行く。
なんでト○ロの絵?
ついたのは観客席の高いところ。
《続きまして、D1の試合をはじめます》
『謙也先輩、試合は』
「すぐ行くから大丈夫や」
《青春学園D1…手塚国光、乾貞治ペア》
「手塚か」
「ドロボーの兄ちゃんたい!」
『あ、あれ』
女の子の声がして、そっちを見ると千歳先輩と女の子がいた。
《四天宝寺中D1…財前光、千歳千里ペア》
『え…』
「掲示板のミス…」
「千歳、早よ来い!」
渡邊先生の声がする。
凄い大きな声。
「そんな、俺…退部届け」
謙也先輩に引っ張られた。
「強い奴がコートに立つのが当たり前や。」
「謙也」
「手塚とやりたいんやろ」
『謙也先輩…』
「奏も…」
『私は、これを渡しに…頑張って下さい』
「ありがとう」
そう言って、千歳先輩は走っていった。
「ベンチ、戻ろうか」
『はい』
そのあと、謙也先輩と先輩達のいるところに戻って観戦した。
なんでかな、全国大会ってツッコミどころ多くないですか?
なんで人間がキラキラ光ったり、腕からオーラが出るんですか…
千歳先輩と財前先輩のダブルスの試合は、相手のペアの人と財前先輩がはずれてシングルスの試合みたいになった。
長い試合のあと、青学の手塚さん達の勝利。
3対1で青春学園の勝利で、四天宝寺中は負けた。
でも先輩達は笑ってた。
すごいなって思いました。
「ありがとうございました!」
挨拶が終わったとき、
「奏ちゃん、行かんでええの?」
って白石先輩に言われた。
『え…』
「立海の試合」
『でも』
「ええから行ってき」
手をひらひらと振って、言った。
『いいんですか?』
にこっと笑って頷いた。
『ありがとうございます!』
お礼を言って走った。
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