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A


「なんで、」

『い、言わない』

「最近、会わないと思ったら…転校したの?」

『会わないのは住んでる所、違うじゃんか』

「黒柳妹はあんたの話あんまりしないし、なんか変なことするし」

『最後のは私、関係ないよね』


腕を掴まれたまま、質問されるけど答えなかった。

なんか言いたくなかったんです。


「ちょっとこっち来て」


『やだ!』

「どこ行くんコシマエ」

『!?』

「!」

『金太郎くん、試合は!?』

「もちろんわい勝ったでー!」

早すぎじゃないっすか?

『お、お疲れさま…』

「奏、コシマエ捕まえてくれとったん?」

いや、よく見て金太郎くん。
私が捕まってるよ!

「なんか用?」

「試合、しよう!」
「やだ」

「えー、わいコシマエと試合したい!」

『金太郎くん、また白石先輩に怒られちゃうよ』

「いーやーや!」

『わがまま言わないでー!てか助けてー』


「応援もしないで何しとんのかな、金太郎。あと奏ちゃんも」

「白石ぃ!」

『白石先輩…』


「…………」

パッと越前くんが離してくれて、一歩後ろに下がる。


「奏ちゃん、なんかあったん?」

『ないですよ』

「金ちゃんは何をギャーギャー言ってんの?」

「だって、白石。見てや。謙也の言っとったコシマエやで!わい、コシマエと試合する!」

「指ささないでくれる」

「ホンマやね、コシマエくんや。でもアカン」

「えー!」

「今は、仲間の試合の応援をしな駄目」

『あの、なんでコシマエなんですか?』

「たぶん、訓読みしてるんやと思う」

金太郎くんに聞こえないように、私の耳元でいう。

ちょっとくすぐったい。

じぃー…っと見ている越前くんに気づいて白石先輩から少し離れた。


「でも、わいコシマエと試合したい!空いてるコートで野試合したらアカンの?」

「アカン」

「いやー、する!」

「アカンったらアカン」

「するったらする!」

『……………』

「(じぃー……)」

白石先輩と金太郎くんが言い合いをしている間、ずっと私の方を見てくる越前くん。

正直怖いです。

「金ちゃん、今日不動峰戦勝てたら次はコシマエくんの居る青学と試合や。今は我慢し」

「今がいいんや!」

「だからアカンって」

「するー」

「しゃーないなぁ…」

しゅるしゅる

「げぇ、毒手!?」

『ひぃぃい!?』

白石先輩が包帯に手を伸ばす。

「ななななに包帯、外してるん!?」

『そそそうですよ、なにしてるんですか!?』

「なんで奏ちゃんまで怖がってんねん。金ちゃんが言うこと聞かん悪い子やから…」

「いや、いや、わいスッゴいええ子やで!」

『そうですよ、いい子ですよ!』

「じゃあ、ちゃんと今は我慢して謙也達の応援する?」

『す、するよね!金太郎くん!?』

「するするする、なんでもするで!」

「なら、止めとくわ」

『はぁ…』

「じゃあ、わい応援いってくるー」

『じゃあ、わ、私も!』


ガシッ

「ねぇ」

あー、やっぱりつかまるのねー。

『ちょっ、越前くん!?』

「最後まで聞いてない」

『だから言わないって言ってるじゃないですか!』

「…………」

『白石先輩も見てないで助けて下さいよぉぉお』

「そこのあんた」

「俺かいな」

「ちょっとかりていい、話があるんだけど」

「アカンって言いたいところやけど…どうぞ」

『えぇぇ!?』

「ただし、試合終わる前に返してもらえる」

「わかった」




そんなバナナ!?
ちがうか、そんなバカな!?






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あきゅろす。
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