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無敵親子とお茶会(姉+娘)


『政宗さま、お帰りなさいませ。ご無事で良かったです。』

「わしがそこら辺の奴らに負けるわけなかろう」

今回の戦、本陣でのお留守番という命令を受け本陣で妲己さんや遠呂智さんと待機していた。

本当は政宗さまを側でお守りしたかった。



川中島からの退き兵舎の部屋に戻ろうとしていたとき、政宗さまが思い出したように笑った。

「そうじゃ、莢によい知らせだ」

『よい、知らせ…ですか?』

「茅はお前の考え通り兼続と行動を共にしておるようだ」

『あの子に会ったのですか!?』

「いきなり飛び蹴りされたわ」

背中を撫でながら、言う。
あの戦で会えたならば、やはり私も行きたかった。

『何故、私も連れて行って下さらなかったのですか。』

「それは…ゴニョゴニョ……(ここの戦場にはあの董卓という変態じじいがおるから嫌だったのだ。しかもずっとわしに付いてきておったし)」

『なんですか?言いたいことははっきり仰って下さい』

「なんでもないわっ」

『いえ、何でもなくありません。小さな声で何かを言ってたではありませんか。そんな隠し事をするような方に育てた覚えはありません』

「育ててもらった覚えがまずないわ!そもそもお前とわしは同い年ではないか!!」

お互いに睨み合っていると頭の上にとある人物の拳骨が降ってきた。

『い!?』

「何をする!?小十郎」

「拳骨です」


私と政宗さまに拳骨をした人物、片倉小十郎さまである。

「そんな事を聞いておるのではないわ!何故拳骨をしたのか聞いておるのだ」

『痛いぃぃ……』

拳骨が痛すぎて涙目になる。

「二人が喧嘩を始めたのでつい」

「ついで殴るでない!思いっきり殴りおって…」

政宗さまは運悪く兜を脱いでいたので私と同じくらいの痛みがあるはずだ。
頭を撫でながら片倉さまを睨みつける。

「しかし政宗様?莢は理由をいわずに置いていかれたうえ、生き別れになった妹との再会の機会を逃してしまったのです。少し説教をしたくなるのも無理ありません」

「最後が意味不明じゃ」

政宗さまの鋭い視線に動じることなく、私の思っていることを代弁してくれる。

「本当のことを言った方が早く気持ちもつたわるんじゃないですか」

そして片倉さまが政宗さまの耳元に近づき、ぼそりと何かを呟いているようだ。

「だ、黙れ!」

『………?』


真っ赤な政宗さまと意地悪な笑みを浮かべた片倉さま。

なんだか楽しそうだ。

「そうだ莢、あとでいいから私たちにもお茶をくれないか」

『あ、かしこまりました。片倉さま、成実さんと、えと…鬼庭さんですから3つですね!』

「よろしく頼む」

そう言って片倉さまは部屋に帰っていく。
政宗さまもため息をついて、自分の部屋に向かって歩いていく。

『あ、政宗さまもお茶入れますか?』

「当たり前じゃ」

『ではすぐにお持ちしますね』


政宗さまの進む方とは反対の方向にある食事場に向かった。



みんなが食事をとる部屋に入ると見知った顔が2つあった。


「父様、千枝は疲れました」

「何故だ?」

「三成様と曹丕様です。あの二人が私をいじめて遊ぶのです。気が合わないと言いながらばっちりですしね」

「普段は我らがいじめておるからのぅ」

「笑いごとじゃないですよ」


あの二人は…確か大谷親子。とても仲良しな親子で有名です。

娘の千枝殿は妲己さんの下で魏の曹丕さんと共に行動している石田三成さまのお付きの方だ。

年も近い女の子でもともと茅と仲がよくてその縁もあって私もお話をしたりする。

その千枝殿がお話しているのは彼女の父上である大谷吉継さま。

いつも笑顔で優しそうな方だ。

「ん?」

ぼーっと入り口で立っている私に気づいた大谷さまがにっこり笑い手招きをする。



「あ、莢殿」

『こんにちは』

「そなたも一緒にどうだ?」

『いえ…私は、皆様のお茶を』

「そうです、莢殿も一緒にお茶しましょう」

「少しゆっくりしてから茶を運ぶのでも良いだろう。休憩も大切だぞ?」

さあさあ、と向かい合って座る大谷親子の横の椅子に座らされる。

「千枝、お茶」

「はいはーい」

『あ、すいません』

「いえいえー」

千枝殿が大谷さまのお茶のおかわりと私のお茶も入れて持ってきてくれた。

「それで」

ニヤニヤと笑う千枝殿が少し怖い。

『はい?』

「政宗殿とはいかかですか?」

『……………は?』

「これこれ、そういきなり聞くでない」

めっと大谷さまが千枝殿の頭を手に持つ扇で軽く叩く。

「こりゃ失敬」

「それでどうなのだ?」

いったい何をきかれているんだろうか。いやだいたい想像はつくんですが何故この方達に知られているのだろうか。

「ふふ、林檎のように真っ赤になって可愛らしいな」

「本当に可愛いです」

『か、からかわないで下さい。いかがもなにも私は政宗さまにお仕えする身、政宗さまも私の主なだげで私なんかなんともっ』

「そんなことはありません!政宗殿は莢殿にぞっこんです」

『そんな恐れ多いです!も、もういいですから!それより千枝殿は三成さまとどうなのですか!』

「……………」

『な、何故笑顔のまま固まるのですか?』

笑顔を張りつけたままで動かなくなった千枝殿。
聞いては駄目だったのだろうかと心配しているとくすくすと笑い大谷さまが「それは私が説明しよう」と言う。

「困ったことに全く進展がないのだ。それで私は暇を持て余しておるのだ」

『そうなんですか…』

「あれほどわかりやすく主張しておるのに進展がないとはまっことつまらぬ」


ほう…と、ため息をつく大谷さま。

「しかも最近は、曹丕殿という手強い敵がおるしのぅ。ほっほっほっ」

「二人して私をこき使うんです。私は三成様のお付きなのに、全く曹丕様は…!」

つまらないと言いながらとても楽しそうに見えるのは気のせいだろうか。

ぷうっと頬を膨らます千枝殿はとても可愛いです。

膨らんだ頬を扇でついてつぶしている大谷さま。


なんだろうこの親子和む……。


いつの間にかお茶を入れなくてはならないことを忘れてしまい大谷親子との恋の会話を楽しんでいた。

お茶が遅いと様子を見に来た政宗さまの雷が落ちるまで無敵な親子とのお茶会を楽しんだのであります。






捏造吉継登場です^_^;
我が家の大谷親子は仲良しです。普通に恋バナとかしちゃう関係です。
そしてこの二人はいろいろと無敵です。三成はこの二人にはかないません。

いつか書きたいです。





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