ほんの少しの(妹)
『莢、大丈夫かな』
世界に変化が起きた時、直江兼続の所にいた茅は上杉軍と共に行動していた。
「政宗といたのだろう?きっと大丈夫だ」
考え込む自分の隣で兼続が言う。
『政宗かぁ、心配だなぁ』
「何故だ?」
『うーん、なんとなく』
こんなに離ればなれなって過ごすことがなかったからか、すごい心配になる。
「自分の主を信じてやれ。それに政宗は莢のためなら何でもしそうだ」
『莢のこと大好きだからね。よし、政宗を信じる。んで、もし莢に何かあったら政宗をぶん殴る』
いつの間にか拳を作って立ち上がっていた。それをみて兼続は苦笑いする。
座り直すと兼続がどこから出したのか茶菓子をくれた。
『美味しい!』
「あの日、茅にやろうと思ってしまっておいたのだ」
『ありがとう!』
お礼を言うと兼続は「気にするな」と笑う。
『…私一人ぼっちじゃなくて良かった。』
「……茅?」
『さすがの私もこんなところで一人は怖いもん。兼続と一緒で良かった。』
「そうか」
なんとなく思ったことを口に出すと兼続は笑って頭を撫でてくれる。
『謙信さまとも一緒で良かったし、もちろんはち丸もだよ』
足元でいじけていたはち丸を撫でる。
『あり?兼続どしたの?』
「なんでもない」
横でずっこけている兼続に首を傾げると、頭をおさえて立ち上がった。
「そろそろ日が落ち暗くなる、兵舎に戻ろう」
『うん』
差し出された手をかりて立ち上がる。
『しっかしなにがどうなってるのかわかんないね』
「遠呂智…、一体何者なのだろうな」
『私、遠呂智軍の人たち不気味で苦手だ。みんな顔色悪くて同じ顔で』
「顔色だけではないとおもうが…何はともあれ、不義な輩を放置はしておけん」
『片っ端から色んな所を攻めてるみたいだし、みんな無事かな』
「そのうち、会えるさ」
『そうだね』
話しながら兵舎へ向かう。その間に日は落ち周りは薄暗く、火が灯されていた。
部屋について、兼続と別れた。女子だというので一人部屋を用意してくれた。
『早いみんなに会いたいね、はち丸』
自分を見上げる小熊のふわふわした頭を撫でる。
こんな世界になってしまってから、謙信さまは宿敵である信玄公と一時休戦として協闘することにしたらしい。
と言うわけでここには武田軍の皆さんも一緒にいる。
だからくのいちと同じ部屋になりたいなと思っていたんだけど、ちょうど任務に出ていたときにこういうことになってしまったと幸村さんが言っていた。
『いろいろ遊びたかったのになぁ』
寝衣に着替えて、布団に入る。
今日は川に入ってはち丸と魚とったりしたから疲れた。
布団の中に入ってすぐ眠気がやってくる。
(莢とかの居場所の夢見えたらいいのにな…)
「……ん」
目が覚めたのはまだ空が暗い頃。
二度寝が出来そうになかったので布団を出る。散歩でもしようと考え部屋を出ようとする。が、さすがに寝衣のままは(誰に会うかわからないので)やめて着替えてから部屋を出た。
『わぁあ』
部屋を出て目に入ったのは、輝く星空。
こんなに綺麗な星空は見たことないかもしれない。
「茅殿ー」
『あ、幸村さん。』
遠くで自分を呼ぶ声に振り返ると幸村さんが櫓の上から手を振っている。
『見張り番ですかー?』
櫓の下まで歩いていって、聞いてみるとにこりと笑いながら幸村さんが答えてくれる。
「ええ、あなたは?こんな夜中にどうされたのです?」
『目が覚めたので散歩を…。あのそちらに行ってもいいですか?』
「結構高いですが大丈夫ですか?」
『はい』
櫓の上からは広い範囲見渡すことが出来る。
『すごい、こんなに広い範囲見渡せるんですね』
「ええ、櫓にのぼるのは初めてですか?」
『はい、いつも登ろうしたら邪魔が入るんですよねー』
「そうなんですか」
櫓の上は案外広くてこれにもびっくりした。
「いつも目が覚めたら散歩をするんですか?」
『いや、いつもはすぐに二度寝しますね。今日はなんとなく、部屋を出たら星が綺麗だったので』
「ああ、なるほど。確かに綺麗ですね」
幸村さんが空を見上げるのに合わせ私も見る。
『何も起きなければいいのにな』
「そうですね」
ただ星を見上げて、どれほどの時間がたったのか。
『…ふぁあ』
「ふふ」
『どうやら眠れそうです、お仕事の邪魔しちゃってすいません』
「いえ、楽しかったですよ。気をつけておりて下さいね」
『はい』
ゆっくり、梯子をおりてから上から見下ろす幸村さんに『おやすみなさい』と言うと笑顔で「おやすみなさい」と言ってくれた。
近づく遠呂智軍との戦いの前のほんの少しの時間。
幸村と兼続の喋り方がおかしいなって思う私です。あと、政宗たちが遠呂智軍に負けるの川中島のあとだったorz
前後ぐちゃぐちゃになってます、すいません。
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