はじまりは突然(姉)
ある日突然遠呂智という人物によって二つの世界が融合した。
私と政宗さまは城でお茶を飲みながら二人で庭を眺めていた。
茅は直江さんのところに遊びに行っていた気がする。
そんなときに世が歪められ、私たち姉妹は離ればなれになった。
私は政宗さまと共にこの世界におとされ、徳川さまの援軍として遠呂智軍に対抗。
しかし敗れ、降伏した。
政宗さまは遠呂智さんの強さに心を奪われ自分から遠呂智さんの配下になり、私は政宗さまに従った。
遠呂智軍には二つの…三國志の世界と私たち戦国の人々がいた。
政宗さまのように自分から仲間になっている人もいれば、徳川さまのように部下などの人質をとられ嫌々従っている人もいる。
「のう、遠呂智。おぬしもそう思わんか」
「…………」
「だーかーらー!遠呂智様って呼びなさいよ!」
政宗さまと言えばさっきから遠呂智さんにベッタリ。
遠呂智さんを呼びきりにし、妲己さんに怒られても気にしてない。
私は慶次さんの隣でその様子をおろおろしながら見ていた。ああ、胃が痛い。
「ちょっと莢ちゃん、あなた政宗さんのお世話係りなんでしょ!なんとかしてよ」
『え…あ、すみません』
妲己さんの怒りの矛先が私に向く。さらに胃が痛くなる。
「そうなった政宗はなかなか莢でも止められねえぜ。なあ?」
『え、は、はい。すみません、妲己さん』
そんなとき慶次さんが助け舟を出してくれる。
『慶次さん、ありがとうございます』
「本当のことだろ?」
『ええ、まあ。いつもはこうなる前に茅と喧嘩になるんですが…』
「そう言えばあいつはどうしたんだ?」
私の呟きで気がついたのか、慶次さんが首を傾げる。
あいつと言うのは茅の事だ。
『直江さんのところに遊びに行ったんだと思います。その時にこういうことになりまして…』
「離ればなれになっちまったってわけか」
『ええ。慶次さん、こちらでは会ってませんか?』
「いや、会ってねえな。だが兼続が一緒なら大丈夫だろう。だってあいつは茅が大好きだからな!ははは」
『そうですね』
慶次さんは笑いながら私の頭にぽんぽんと手をのせる。なんだか暖かくて優しくて、気持ちが和む。
その頃、遠呂智を奪われたままの妲己が和やかムードの二人を見つけてニヤリと笑う。
「政宗さん、あれ見て」
「なんじゃ」
「ほら慶次さんと莢ちゃん」
声をかけ政宗に二人の方へ意識を向けさせることに成功した。政宗の眉間にシワがよるのを確認してさらに笑顔になる。
「……」
「お似合いじゃない?ほらほら、身長差とか。なんていうか…」
「…………」
どんどん不機嫌になる政宗を見て喜ぶ妲己を横目で眺める遠呂智は小さくため息をついた。
「莢!」
『はい!?』
和んだのもつかの間。
さっきまで機嫌は良かったはずなのに、自分の名を呼ぶ声は不機嫌でしかない。
いきなりだったので驚いてしまって片倉さまに怒られる時みたく背筋がのびる。
「部屋に戻るぞ」
『え、でも…』
「いいからこい!!」
『は、はい!!』
ズカズカと近寄ってきた政宗さまに手を掴まれ、そのままズルズルと引っ張られる。
『あの、えっと、慶次さん、妲己さん、遠呂智さん失礼しま…』
引きずられながら三人に挨拶をする。が、最後までいう前に政宗さまに扉を閉められる。
「がんばってねー!」
閉まる直前、妲己さんの楽しそうな声が聞こえた。
何故?
『政宗さま?先ほどまで遠呂智さんと楽しそうにお話をしていましたのに、急にどうしたんですか?』
「別に何もないわ」
『ならよいのですが…』
ならば何故こんなに不機嫌なんだろう。
しばらくの沈黙の後、政宗さまが立ち止まって掴んでいた手を離す。
「そろそろ高丸の餌の時間じゃろう。それを思い出しただけじゃ」
『あ…確かに。』
「もう一つ言うと妲己がうるさかったのだ」
『あれは政宗さまもいけませんよ。妲己さんの話をちゃんと聞かないから…』
「……説教はいらんわ!」
政宗さまはそう言うなり、今度は一人で廊下を歩いて行く。
『…(どうしよう)』
「早く来ぬか!!」
どうすれば機嫌を直してくれるだろう。考えているとまた強めに呼ばれる。
『も、申し訳ありません』
政宗さまのところに走っていく時も機嫌を直してもらう方法を考えていた。
なんだろう、このむちゃくちゃなかんじ。
「政宗さんっておもしろーい」
妲己は政宗をからかって遊ぶことに決めたようです。これからこの二人は妲己とか色んな人にいじられてしまえばいいと思います(笑)
高丸は莢の飼い猫です
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