動悸とアイツの関係性
なんだこれは。なんなんだ、心臓のドキドキが止まない。
いや、止まったら死んでしまうがな。
というよりなんで私は鳳に抱きしめられなきゃならんのだ!?
『もう!コウモン様に集中出来ん!?これもそれも鳳のせいだ』
「鳳がどうしたんだー」
『ぬわぁ!?きゅっ急に入ってくんな、馬鹿葵』
「色気ないねー、キャアって言えばまだ可愛いのによ」
『だから勝手に入ってくんな!不法侵入だ、察呼ぶぞ!?』
「俺、ちゃんとチャイム何回も押したし声もかけたしでも返事無いし。何々一人で何悶々してたんだ?」
『うるさい!!』
勝手に人の家に入ってきた葵にクッションを投げると受け止められた。
「おー、いてー。お前、女子ソフト入れば?エース間違いなし!」
『入るか!!』
「で、鳳がどうしたんだ。お兄さんにいってみなさい」
葵が眼鏡をクイッとあげてニヤリと笑う。なんで葵なんかに話さなきゃいけないんだ。
でもな、小夜に言ったら面白がってややこしくなりそうだしな。
『……………』
「湊、ほらカツ丼。さっさと話して楽になっちまえよ」
『なに人の家の冷凍食品つかってんだ』
家の冷凍庫にあったカツをレンジで暖めてカツ丼作りやがった。
てかカツ丼食べたら誰もが喋ると思うなよ。
「だいたいの察しはつくがな、ほらお前も食え」
『お前は遠慮しろよ』
しかも自分の分も。人の家の食材を勝手に……
「お前は不良に絡まれず帰るためまたドラマの再放送をみるため、足早に帰っていた。が、そこで丸眼鏡をした忍足侑士に声をかけられその変態さにドン引きしながらテニス部部室に連れて行かれた」
『あいつ忍足侑士っていうのか、初耳だな』
「そこで忍足は生徒会長こと跡部景吾に蹴られ、お前は跡部に気に入られてテニス部マネージャーをしろと命令されてドラマの為拒否そこに鳳がやってきて跡部がお前にちゅーしようとしていると勘違いし、跡部の手を叩いて湊を救出したけどお前は抱きしめられて心臓バクバクのドキドキで死にそう」
って感じだろ?とカツ丼を食べながら言う。
なんだこの、地味に感じた恐怖は!?最初から最後まで見てたのかってくらい正確だな。
『もしかして見てたのか…』
「いえすっ!」
『うぜー!!』
「安心しろ、偶然通りかかったんだ。んで面白そうだからついてったら面白かった!」
腹がたったので思いっきり殴ってやった。
『人の不幸をわらってんじゃねえよ。助けろよ』
「何事も経験だよ。あ、湊にいいこと教えてやるよ」
『なんだ?』
「今のお前、恋しちゃってるぜ」
『は!?』
ガチャンっと箸を落としてしまった。思わず葵の言葉に反応してしまったが、決してこの言葉を認めたわけじゃない。
「はははー、恋する乙女だな!」
『葵』
「なんだ?ああ、アドバイスか!そうだな、ひとまず押し倒せばいいんじゃないか」
『帰れ!』
一人盛り上がる葵を押して玄関の外に追い出して鍵を閉めた。
『………最悪だアイツ』
恋しちゃってるぜだと!?
な、なんで嫌われものの私が鳳なんか好きにならないといかんのだ。
まず…恋ってなんだ!?
お代官様のアーレーのことか!?
頭痛くなってきた。
動悸とアイツの関係性
(だから恋ってば)
(何処から入った!?)
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