動悸の正体
「うわぁ、むっちゃえい足しとんなぁ」
『死ねば?』
思わず即答してしまった金曜日の放課後。
家に帰ってとあるドラマの再放送を見たあと宿題と夕食の準備をしようと思い、そこらへんのチンピラに絡まれないよう足早に学校を出ようとした………
「俺、先輩やでー。ちょっと酷すぎん?」
『すまん』
らチンピラではなく変なことを言う丸眼鏡に絡まれた。
「しっかし美脚なうえにドSとかえいわぁ。なぁ、君テニス部のマネージャーせん?俺、君にやったら踏みにじられても大丈夫。寧ろして欲しい」
『黙れ変態』
あ、また言ってしまった。
なんなんだこいつは、キモチワルイと言うか関わりたくないと言うか。
苦手だな
さっきこの変態はテニス部のマネージャーとかなんとか言っていたな。
テニス部と言えば別名ホスト部とか何とか言われてた気が。
こんなのがテニス部改めホスト部にいるとは…………ホスト部も大したことないな。(ひどい)
「笑った顔も可愛いで。ほな、テニス部行こか」
ガシッと腕を掴まれ、引っ張られる。
『は、離せ!』
「ええから、ええから」
ズルズルと引きずられるように連れて行かれたのはテニス部の部室。
「景ちゃーん、可愛い子ちゃん連れてきたd」
「おいてめぇ、遅れてきて何だと!?」
部室に入った瞬間蹴られる丸眼鏡。
「痛いわぁ」
『うおっ』
「ああーん?」
『あ?』
丸眼鏡を蹴ったやつ。
泣きぼくろがある。なんかどこかで見たことあるような…………
『ああ、生徒会長』
「なんだてめぇ」
『そこでのびてる丸眼鏡に無理矢理連れてこられたんだが、帰っていいか?今日はちょっと見たいドラマがあるんだ』
そうだ、今日は大好きなミトコウモンの再放送があるんだ。
ただでさえ、この丸眼鏡に時間を奪われているんだ。走って帰らねば間に合わない。だから早く解放して欲しい。
「ふーん、よく見たら可愛いじゃねえの」
『……は?』
「何よりこの俺様にタメ口とはな。目付きがいいな、お前テニス部のマネージャーになれ」
『嫌だ。私は放課後(ミトコウモンの再放送で)忙しいんだ。あと目付きは生まれつきだ』
「そう言うんじゃねえよ」
そう言って生徒会長は私の顎に手を添える。
その時。
ガチャリ
「只今戻りまし…た」
「おい長太郎。なに急に止まってんだよ…って跡部何してんだ?」
見知らぬ帽子を被った男子と口をぱくぱくさせている鳳。
『あ、鳳…』
「鳳、知り合いか?」
「あ、跡部さん…な、なにやって…」
「何って、見ての通りだが?」
生徒会長がそう言うと不審な動きをし始めた。
『お、おい鳳大丈夫……』
大丈夫なのかと聞こうとしたとき、ぱちんっという音がして気がついたら生徒会長から引き離され鳳に抱きすくめられていた。
「あああ跡部さんでも駄目です!」
『「は?」』
なんで私は、こいつに抱きしめられているんだろう。
そしてドキドキうるさい。
「鳳、お前何勘違いしてやがる!?」
『…………』
「だだだって跡部さんが野宮さんに…」
『…………鳳、悪いがそろそろ』
「あ、ごめんね野宮さ…」
『いや、いい。気にするな』
「あれ、どうしたの涙目だし顔も真っ赤だけど…」
『!』
鳳に言われて初めて気がつく。さっきより心臓がうるさい。
とりあえず、この場から逃げよう。
そして落ち着こう。
「うわっ」
鳳を押し退けて、出口に走る。その時床に転がる丸眼鏡を踏んでしまった気がする。
そのまま、部室から飛び出し家まで信号以外止まらず帰った。
動悸の正体
(鳳のせいだ…)
なんだこれ
鳳くんが跡部さんの手を平手で叩いて主人公を救助しました。
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