隣の席は吉か凶か 今日、最初に見たメール。"今日は、クラスの席替えするから学級委員の湊の出番だぜ!" 携帯をへし折ってやろうかと思ったわ 朝から気分を害する野郎だぜ。 学校行ったら殴ってやるから覚えとけよ。 携帯を制服のポケットに入れて、鞄を持って家を出た。 「財布だせや」 と、まあ。何事もなく学校行けるなんてないよな。 見るとガラの悪そうな他校の生徒にうちの学校の生徒がからまれていた。 ここで見捨てるのはなんだか、後味悪いしな。 『私の財布でいいならやるぞ』 「なんだよぉ…お前は!?」 振り返った男の顔に一発入れる。 よろけた男にさらに一発蹴りを入れたらあっさり気絶した。 『大丈夫か?』 絡まれていた奴に声をかけると、そこにいたのはひょろっとしてへらっとしている男子。 「ちょー、かっくいー!!」 若干、うざい 『朝はここら辺はこんな奴が多いから、気をつけた方がいい』 ここら近辺に不良が多いのは変な噂を聞きつけた奴らが私を待ち伏せしてるからだ。 「ありがとう、良かったらメアド交換しねー?メールしよう!そうしよう!!」 変な奴を助けてしまった。 『アホなこと言わないで、さっさと学校行きやがれ』 「一緒に学校行こうよ」 『しつこい』 ーーがっ 「ぎゃふ!!」 あ、しまった。あまりのしつこさとうざさに拳が出てしまった。 『しつこい男は嫌いだ』 私は見た目たらしなしつこい男をその場に放置し、学校に向かった。 ***** 「今日は席替えをします。野宮さんが持っている箱の中にくじが入っているのでそれをひいて黒川さんに渡して下さい。」 鳳がクラスの奴らに向かって言う。 私が言ったら、多分怖がって席替えどころじゃないだろう。 一人一人席を立って引きにくるんだが、なんだか引くのをためらってないか。 『引かないのか?』 私が声をかけると、 「ひぃ!ごめんなさい!」 と言われた。 あぁ、私が箱持っているから引かないのか。 別に私は訳もなく人は殴らない主義なんだが。 『小夜、かわれ。私が書く』 「ほえ?なんでどうしてー」 『お前の字は黒板になると汚い』 「まぁ!失礼ね!本当だけど」 怒りながら、私から箱を受け取ると「はいはい、引いて!」とくじを引かせる。 「18番です」 『わかった、18番が晴山だな』 「え、名前?」 『どうした』 「いや、なんでもない」 少し驚きながらもくじを置いて自分の席に帰る。 よくわからない。 「ふふ…」 『何が可笑しい、鳳』 「なんでもないよ」 『変な奴だな』 「はい、くじ。あとは俺達だけだよ」 そう言いながら私にくじの入った箱を差し出す。 黒板を見ると空いてる席は3つ。 一つは廊下側の一番後ろの3番 もう二つは窓際の隣同士の9番と25番 小夜と一緒にあの窓際の席がいいな。 「黒川さんは先に引いちゃったけど良かったら野宮さん引いて」 『鳳が先に引け、私は最後ので構わない』 残りものには福があると言うしな。 「ねー、一緒に開けない?」 「いいよ」 『そうだな』 小夜がぴょんぴょんとこちらに来て「せーの」という。 『私9番だ』 「あたし3番!」 なに? まて、待て待て!? 「やりー!私、一番後ろだ」 喜ぶ小夜。 待て、小夜がその席だというと…? 「俺25番だ。野宮さん、隣だね」 やっぱりか!? 『ななな!?』 「うわぁ、嬉しいなー。これからよろしくね。」 また背中に悪寒が。 やっぱり風邪だろうか。 『それなりによろしく』 「うん」 残りものには福があると言うが、私にはこいつと隣になった事が吉になるか凶になるかわからないけれど…… 新しい席順を見た、山田がニヤリと笑ってのが少し気味が悪かった。 隣の席は吉か凶か (また変な動悸が…?) . [*前へ][次へ#] |