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水曜日のきまりごと


『疲れた…』

今日は忙しい1日だった。

学級委員にならされるし、帰り道にも他校の奴らに絡まれるし…。

家につくとリビングにあるふかふかのソファーに寝転ぶ。

『そう言えばあの時の…』

鳳と話していた時に感じた悪寒。

風邪だろうか。

『ちゃんと料理も考えてるのにな。料理と言えば明日の弁当の中身を考えないと駄目だな』

やることが多すぎる。

今日は水曜日、か。
『疲れたしな…10分寝るか』


そう思うが早いか、すぐ眠くなる。

『ふぁああ…』

ヤバいな、本気で眠い。

私はそのまま夢の世界へと意識を手放した。





夢をみた。

それは亡くなった春ちゃんと英くんと私で一緒に居る夢

私は春ちゃんの作ったハンバーグを頬張っていて春ちゃんと英くんはいちゃこらしている。

幸せな夢


あの時のか弱い私がなんで今、こんなに男相手に喧嘩してるんだろうか。

きっと春ちゃんいたらすごく怒られちゃうな…。




ピリリリリリリリリ

家に鳴り響く電話の音に目が覚める。

『ちょっ、今何時!?』

ソファーから起き上がり、時計を見るとなんとまぁ予定より3時間寝坊。

時刻は8時。


ピリリリリリリリリ

電話はいつまでも鳴り続く。

『あー、はいはい!!』

鳴り続く電話のもとに走り、電話にでる。

『はい、野宮です』

《俺だ》

受話器から聞こえるのは優しい聞き慣れた声。


『英くん、こんばんわ』

《お前また喧嘩したそうだな、葵くんに聞いたぞ》

『げっ』

《一応、女なんだぞ。もう少しおとなしく》

『はいはいはい!』

《はいは一度でよろしい》

英くんは私のお父さんで野宮英吉。

春ちゃんは私のお母さんで二人がお互いを名前で呼び合うので私もそう呼ぶようになった。


《まぁ、それは仕方ないか。目つきが悪いのは俺に似たんだし。もう少し春に似ればお前も女っぽいのになぁ》

ぶつぶつと受話器の向こうから説教が聞こえる。

これも全部あることないこと英くんに報告する山田のせいだ。

あとで絶対殴る。

その後もぐちぐちと説教は続く。

もうこれ以上は耐えられない!

『英くん、そう言えば仕事はどうよ?』

《普通だが》

『そ、そっか。なら良かったよ!』

《お前は不自由ないか?》

『うん、大丈夫。料理もちゃんとしてるし寝てるしお金も節約してるから』

《無理はしないように頑張れ。もう少し仕事が落ち着いたら帰れると思うが》

『そうなの?じゃあ楽しみに待ってるね』

英くんは海外転勤で海外にいる。

私は海外嫌だったので、一人で暮らしている。

一人暮らしできるようになったのは近所に山田が住んでて、あいつが面倒見るからって言ったからなんだけど…

今すごくムカついてんだけどよ、あいつに


その後はゆっくりのんびりと仕事や学校の話をして電話を切った。

毎週水曜日の8時前後は父との時間。

喧嘩や日々のストレスを忘れられる時間。

水曜日のきまりごと

(私の安らぎの時間。)






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