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まだ午前中

「よーし、みんな。数学の時間だけど今から学級委員二人を決めちゃうぞー。ちなみに、男女だからな」

一人ハイテンションな山田。

そして、静まりかえる教室。

イライラMAXな私。

「立候補はいるかい?いないね、よーしじゃあ俺が決めるぞー」

一人ウキウキしている山田。

なんだろう。過去の経験からかすごくいやな予感しかしないや。

「そうだな…女子は野宮 君に決めとぅわぶ!?

『ペケモンじゃねえ』

「いった!?何するんだお前は!?」

『あ、手が滑って上履き投げてしまったー。すまん』

「棒読みだなー…おい」

『学級委員なんかやる訳ないだろうが』

「なんと言おうともう駄目だからな!俺の決定はみんなの決定!」

『ふざけんなよ、お前…』

ジャイ○ンじゃねえかよ、それ!?

「もしもこの決定に逆らってみろ!普通より上のお前の成績がどうなるかな…ふははは」

『……職権濫用じゃね?』

「お黙り!」

明らかな職権濫用だろ!?
そうツッコミたかった。


「野宮がペアでも俺はやれるっていう男の中の漢はいないのか!?」

『殴るぞ、本気で!?』

しかも字がおかしい。
なんかかっこいいじゃねえか!?

てか失礼じゃねえか?
人をボスざるみたいに言いやがって。

殴る。家帰ったらぜってぇ殴る!

クラス(男子)の沈黙がさらにイライラさせた。

「誰もいないのか?本当にちょっとだけ野宮に失礼だぞ」

(お前がそれを言うか!?)

「先生、俺やります」

「おっ、おぉ!鳳やるか!お前は男の中の漢だなぁ!!他に立候補はいないな?」

「せんせー」

山田が決定しようとしたとき、一人の女子が手をあげた。

「鳳くんがやるなら私、野宮さんとかわってもいいよ」

鳳がやるならこんな面倒な仕事をやりたがる奴がいるんだな。

なんかよくわかんないわ。

「駄目」

『は…?』

思わず間抜けな声を出してしまった。

「野宮は変えられないんだよ、悪いな」

「えー、どうして?」

「学級委員と言えば荷物運びなどなど女子がしたくない力仕事ばかりがあるからだ。野宮は力有り余ってるし」

うっわ、うっわ!?
なに、これ担任が言うことか?
しかも女子生徒に!?

「重い荷物持ちたくないだろ?それに野宮の成績のためだ」

「ふーん」

「つーことで、野宮と鳳で決定!いやー、決まった決まった!」

一人楽しそうに喜ぶ山田。

きかないとわかっていながら睨まずにいられなかった。

    * * * * *

「学級委員長、就任おめでとうございます!」

『おめでたくない。ふざけるなよ、小夜』

休み時間になると親友の黒川小夜が楽しそうに私の席にやってきた。

「ありゃりゃ、お怒りですかな湊ちゃんは」

『当たり前だろう。勝手に迷惑なもの押しつけやがって。』

「いいじゃない。葵先生と会う機会が増えるから」

『全く嬉しくないわ。それなら小夜が立候補したらいいだろう。』

「会えるのは良いけども、仕事はやだもん」

『ああ…、そう』

「それに葵先生のとこ行くときにはどんなに拒否られてもついていくから安心なさい!気が向いたらhelpしてあげゆ」

『うん、帰れ』

「その笑顔、なかなかいいねぇ!」


小夜は幼稚舎の頃からの友達。
そして唯一の女友達だ。

男にも女にも人気がある彼女と仲がいいことに少し驚く。


そんな小夜は有名人。

なんでも三年生にいる親戚がホスト部とかいう変な別名を持つテニス部のレギュラーなんだそうだ。
しかもその親戚とパッと見そっくりらしい。

小夜の実家が遠いため、その親戚の家に下宿してるというのは私と山田だけに教えてくれた秘密だ。

「野宮と鳳はちょこーっと廊下においで」

『……』

「はい」

『ハァ…くる?』

「うん!」

小夜と一緒に廊下にでると満面の笑顔の山田が立っていた。

「うんうん、予想通りの結果だ」

『何が予想通りだ。人を凶暴なサルみたいに言いやがって』

「何をいう!?これはお前の為なんだぞ!友達のいないお前にチャンスを…」

『よけいなお世話だ!!』

「葵先生、湊は照れてるだけだよ」

「あぁ、わかってるよ」

『照れてない!』

小夜と山田にチョップをくらわすとそれまで黙ってた鳳がにっこり笑った。

(う………)

「野宮さん、よろしくね」

『…あぁ』


なんだコレは。
なんか鳳が笑った瞬間、悪寒が…。

『風邪か?』

「えっ、大丈夫?」

『あぁ、大丈夫』

やっぱり気のせいか。

「ちがうちがう。絶対感じ方間違ってるよ、湊」

「ついに時代がきたな。野宮にデレの時代が…」

『本当に黙れよ、お前ら』

拳を作って見せたら、「ごめんなさーい」と全く反省してない。

「はは、楽しそうだね」

『楽しくない、全く』

どこをどう見たら楽しそうに見えるよ。

「ところで山田先生用事は何ですか?」

「あー、顔合わせだよ。委員長はお前らふたりで、書記が黒川だ。あと、委員長か副委員長かわふたりで決めてくれよ」
『は!?』

「わかりました。よろしくね、黒川さん」

「よろしくー」

小夜が委員長に立候補しない理由がようやくわかった。

すでに書記に立候補済みだったからか。

しかもいきなり言われて、よくあんなにさらっと受け入れられるな鳳よ

今日はいろいろありすぎてもう訳わかんない。


まだ午前中

(午前中だけでこんなに疲れるなんて…)





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