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テニスの王子様shortstories
5/23








「なーなー白石ぃ!知っとるか!5/23は、キスの日なんやでー?」

ピョンピョンと元気よく飛び跳ねて俺のところに飛んで来るのは四天宝寺テニス部のルーキー遠山金太郎。

「知っとるけど、それがどないしたん?」

「なんやー、知っとったんかいな。つまらんー。」

今度はキィキィと拗ね始める金ちゃん。
全く、忙しいやっちゃな。

「どけんしたと?」

「千歳ぇ!あんなあ、知ってるか!?」

………ちょ、金ちゃん待ちいや。そないな事を千歳に言うたら………。

「5/23はキスの日なんやでー!」

しかも俺に言った時よりも元気に言うとるし……。

「それホントかね、金ちゃん。」

ニコニコしながら答える千歳。

「おん!ホントやで!」

「そうたいね。白石、俺とキスするばい。」

やっぱり、こうなった。
いや、わかっとった。わかっとったけどな、千歳……自分場所考ええや。

「アカンわ、アホ。自分おかしいんとちゃう?場所考ええや、場所。」

「なんでばい?俺と白石は恋人同士たい。それなのにキスの日にそげん事しない方がおかしかばい。」

「う………。」

確かに、言っている事は合っている……。

「…や、でも金ちゃんおるし…。ダメやで?」

「そんなん関係ない。こないにむぞらしい白石見てたら我慢出来ないのが辺り前ばい」

そう言うと同時に千歳は俺のジャージに手を掛ける。

「ちょ、アカン言うたやろ千歳!」

「……?白石、千歳…何しとんの?ワイよう分からん。」

案の定俺たちの隣りで首を傾げている金ちゃん。

「な、なんでもないで!これは……っぁ?」

いきなり目の前が暗くなった。それと同時に千歳の顔がグンと近づく。
チュ……。と、千歳の唇が俺の唇に重なった。
一瞬、思考回路が停止した。

「キスやぁ!千歳が白石にキスしとるー!」

顔を真っ赤に染めながら金ちゃんがそう叫ぶ。
………よりによって、金ちゃんの前で…………。

部員の全員(金ちゃん以外)が俺と千歳の関係を知っているとは言え、多少の羞恥心はある。それなのに…このアホは………。

「白石ぃ?、むぞらしかね。」

キュッ

「っあっん、」

しまった。そう思い口を塞いでももう遅かった。

「なんや!?なあ、白石ぃ。今の声なんや?」

「な、なんでもなっあいっ」

「金ちゃん、これは喘ぎ声ばい。白石の喘ぎ声、むぞらしかばいね。」

……千歳………────。
……お前、殺したるわ。






******


「っ千歳ええぇぇっ、許さへんで!よりにもよって金ちゃんの前であんな事するなんてっ…………」

「……な、何がばい?」

目の前には1人困惑している千歳のみ…。

「あれ、金ちゃんはどこや?」

「……?金ちゃんなんて最初から居なかよ?」

その言葉を聞いて周りを見渡す。そこは見慣れた自分の部屋だった。

え…どういうことや…………?
…………まさか…全部……夢………?

「もう嫌や。」

ああ、恥ずかしい。あんな夢見るなんて。……まるで千歳にキスして欲しいみたいやんか。

「どげんな夢みたとね?」

「……キス……。」

無意識のうちにそう呟いていた。

「キスの夢ばい?白石は変態さんやね。」

「っ変態言うなや。」

グイッ

「こんな感じばい?」

千歳に体ごと引き寄せられグン、と距離が近づく。そして、ゆっくりと千歳の唇が俺の唇に重なった。

「…アホ」

それと同時に少しずつ熱くなっていく俺の体。

「そうたいね。……ああ、思いだしたばい!今日はキスの日だったばいね。」

そう言うと、今度は俺をベッドに押し倒した。

「ちょ、千歳?」

「キスの日だからいっぱいキスするばい。待ったは無しやけんね。」

「…っん、待ちぃ………っあぅ…っや。」

アカン…もう…何も考えられへん。

「っは……ぁ、」

グイッ

俺は多いかぶさっている千歳に思い切り抱きついた。

「しら……」

「っ、…早う、俺ん中来いや…。」

これが今の俺の出来る精一杯のおねだり。
もう、恥ずかしすぎるわ。

「っ白石?。愛しとおよ。」

「っ、俺も……愛しとるわ、アホ……………。」


つぎの日、俺の予想通り腰がアカン事になったのは言うまでもない………。

















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