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テニスの王子様shortstories
嫌っていう程愛してる














「ちょっと、柳先輩聞いてます?」

「ん?ああ。ちょっと考え事をしていてな。どうしたんだ赤也?」

今言葉を発したのは立海大テニス部ルーキーの切原赤也。俺の初恋の相手。
もちろんこの気持ちは本人には伝えていない。

「もー、だから、俺は柳先輩の事好きなんですってば!」

「そうか。」

この気持ちに気づいたのはつい最近だった。赤也のデータを取るために赤也の行動を見つめていたら………
ん?…ちょっと待て。今、赤也は何か大事な事を言わなかったか?

「っ、…柳先輩…。流石にそれはひどくないっすか?」

いつの間にか涙目になってしまっている赤也。
俺は一体何を考えていたのだろうか。

「…すまなかった。…悪いがそれはどう言う意味でだ?」

一概に『俺もだ。』なんて返事返せない。もしも赤也の思っている好きと俺の思っている好きとが違っていたら困るから。

「そ、そりゃあ、あんた。…恋愛対象でに……決まってるじゃないっすか……。」

徐々に徐々に小さくなっていく赤也の声。
……こ、これは喜んでいいのか?赤也は恋愛感情を先輩への敬意と勘違いしているんじゃないのか?
悪い予想ばかりが頭の中をよぎる。
赤也は、純粋なんだ。だからきっと気の迷いでもしてしまったのだろう。

「…俺、は。」

上手く言葉が出てこない。『赤也、お前は恋愛感情と敬意を勘違いしているんじゃないのか?』と言うつもりなのに俺は…………。

「…お前が……好きだ…。」

と、自分の本心を語ってしまった。途端に不安が俺を襲う。
もしも赤也が今言った事が冗談だったのなら………。

「じゃ、じゃあ…俺達両想いって事っすね!!」

「柳先輩っ」

ギュ……と、赤也は俺に抱きついた。身長のせいか、なんだか小動物のように見えて可愛い。

「…嘘…とかじゃないだろうな?」

珍しく不安げに俺がそう聞くと赤也は何言ってんだこの人みたいな目で『あったり前じゃないっすか。』と笑った。






***





放課後になり、日課とかしている赤也との2人きりでの下校。

「あー、柳先輩愛してるっす??」

と言って抱きついてくる小動物……じゃなかった赤也。
付き合ってから半年もたった今、俺達の他にも男同士で付き合っている奴らがいるということが分かった。
あの時、何も俺はあそこまで考える事なんてなかったのだ。赤也は、恋愛感情と敬意を間違えてなんていなかった。
ただただ優しい愛で俺を愛してくれた。それは今も変わることない。

「……俺もだよ。」

そっと自分に抱きついている細い腕に自分の腕を重ねる。今は真夏だというのに暑苦しいなんて全く感じないことに少し驚きを覚えた。

「嬉しいっす。」

ああ、可愛い赤也。愛してる、赤也だけを愛してる。

「…なあ、今日家に来ないか?」

SEXの誘いにもとれるこの言葉。赤也は顔を赤く染めながら二つ返事で『行くっす!』と言った。







*****






「赤也?」

俺の部屋に入るなり、赤也は服を脱ぎ始める。
おかしいな。赤也は俺が服を脱がしはじめるまではいつもベッドに座っているだけの筈なのに…。

「っ……俺…先輩のこと好きなんすよ…。」

「知っているが…?」

何度も、何度も聞いた赤也からの愛の言葉。

「違うんす。俺は…先輩が思っている程…っ純粋な奴じゃなくて…っ。」

「赤也。」

だめだ。きっと、今は聞いてはいけない。

「っ…あ、っん」

『もういい』、というように俺は赤也をベッドの上に押し倒した。
そしていつもよりも荒々しく赤也の服を脱がしていく。

「もう、何も言わなくていい。お前はただ感じていれば良いんだ。」

優しく、赤也の細く白い体にkissを落とした。

「っ…ゃだぁっ…聞…てっ」

少しだけ抵抗を見せる赤也。何かを俺に言いたいらしい。
でも…今は聞けない。いや、聞きたくない。
正直、怖い。
本当は赤也が俺の本性に気づいてしまったらどうしよう、といつも怖かった。

「…赤也っ…愛してる。」

ズブ…と、たいして濡れてもいない赤也の臀部に指を一本入れた。

「っあ、、ぅあっ…い、った…っ。」

萎えている赤也のモノに手を添えて扱く。少しずつたちあがってきたそのモノと比例して赤也の口からも少しずつ甘い声がで始めた。
「ん…柳…先輩っ…ぁ」

「……ごめん、赤也。」

そう言うと『え…?』と言う風に戸惑う赤也。
そんな赤也をよそに俺は服を脱ぎ捨て高ぶる己自身を赤也のソコに当てた。

「…っやっ……ま、だっ……あ、…ああっ…ぅ」

我慢できなかった。どうしても、今日は我慢が効かなかったのだ。
怖くて………さっき赤也の言おうとしていた内容がなんなのかが怖くて。

「っくぁっ…ああっ…ぅんぁ…」

全て入りきると俺は無理矢理赤也の中に埋めている自身を動かし始めた。
赤也と繋がっている場所からは赤也の血が流れ出していて、それが俺の動きの助けをしていた。

「…ごめん、……赤也、…ごめんっ…」

『ごめん、ごめん、』と、俺は名前を呼んでただ謝る事しか出来なかった。

「ぅ、…ぁあ、…んっ…ぐぅ、はっやな……ぎ、…せんぱ、ぅぐっ」

ギュウ……と、赤也に力強く抱きしめられた。
思わず驚いてしまい腰の動きを止めた。

「っ…いい、よ?…お、れは……っはぅ…っ」

『柳先輩が優しい人だって知ってるから…』赤也はそう言ってゆっくり、ゆっくりと俺の背中をさすってくれた。

「あ、かや……俺は…っ」

俺は汚いんだよ、赤也。
自然と俺の目からは、涙が溢れていた。目の前が滲んで赤也の顔が良く見えない。
いつでも、どこでも、お前がいないとダメで。きっとお前が居なかったら俺は死んでしまうだろう。
お前は………俺の全てなんだよ。

「…、俺……。」

ズルッというような音を立てて赤也の中に入っていた自身が抜けた。
自身にまとわりつく血が、さっきまでの赤也の痛みと苦しみを表現しているようだ。

「…ダメなんスよ。柳、…先輩が居ないと。」

「っ…は、…赤也…っ」

止まらない涙が、赤也の頬の上に落ちた。まるで、赤也が泣いている様だ。

「俺は…弱いんです。…ハハッ…っカッコわりぃ…」

バッと、赤也は自分の腕で顔を隠した。

「…。お願いだよ、…柳先輩……俺…を…捨てないでっ…っ」

きっと赤也も泣いているのだろう。泣き顔を見せたくないから腕で顔を隠したのだ。

「…当たり前だろう…っ。」



それから2人して大泣きして、抱き合って眠った。
俺達は弱かった。いや、弱いんだ。今も、きっとこれからもずっと。
相手の事を考えるだけで、胸が苦しくなって、それでも幸せで。相手が自分以外の人間と話しているのが気に入らなくて、泣いて、怖くなって。それでも、絶対に別れるなんて事はしない。
だって俺達は、分かっているから。


「…俺は…お前しか愛せない。」

たった一人の運命の人。その人と、

「…俺もっス。」

しっかりと、愛し合っている事を……────。






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