テニスの王子様shortstories
君に依存症
月日が経つのは早いもので、俺はもう高校2年生になっていた。
「のう、赤也?」
俺は隣にいる愛しい愛しい恋人に話しかけた。俺達は2年程前から付き合っている。
今日俺達は部活が休みだったために俺の家でデートをしている。俺は外デートでも家デートでもどちらでも良かった。
家デートは赤也からの希望なのだ。
「なんすか?仁王先輩」
相変わらず可愛くて、元気で、中学生の時からさして変わりのない赤也。
そのおかげで、俺は少しずつ、少しずつ、おかしくなっていく。
「…おまんは、俺がどんなにおまんのことを愛しとーても引いたりせんか?」
俺がそう言うと、赤也は驚いたような顔をしてから『何言ってんすか。』言い、笑った。
「愛されて引く人なんていないでしょ。むしろ俺は…」
ギシ…と、俺達の座っているベッドが軋む。グンと、俺達の距離が近づく。
そしてチュ……と、優しく俺の唇にkissをした。
「もっと愛されたいっすけどね…。」
独り言のように呟かれた赤也のその言葉。儚げに何処か一点を見つめるその瞳には一体何が映し出されているのだろうか?
ズクンッ………────
ああ、また始まった。
俺の赤也依存症が……────。
最近、妙に赤也を求めている自分がいる。
「いいのか?」
荒々しく、赤也のことをベッドに押し倒す。きっと今の俺の目は欲に溺れていることだろう。
「当たり前っすよ。愛してます、仁王先輩。」
妙に色気を含んだ視線で赤也が俺を見た。クルクルとしたくせっ毛。綺麗な黒髪。女子のように真っ白な素肌。整った顔立ち。
全てが俺を興奮させる。
もう、止まらなかった。
「っあ、ぅ……はっ…ぅあっ」
荒々しく赤也の来ている衣服を取り去る。そして俺も服を脱ぎ捨てた。
お互いに生まれたままの姿でお互いを求め合う。
ああ、赤也…もっと……────。
ガブ……
「っああああぅ……────ぐああっ…。」
思い切り、赤也の首筋に噛み付いた。するとそこには内出血を起こしたかのように赤く跡が付いた。
「…すまんのう、赤也。」
俺は………もう。
「もう、俺は普通におまんのことを愛せん。」
なんとなくこうなる予感は薄々感じていた。赤也と付き合って、俺は嫉妬という感情を知った。初めてコイツだけは……赤也だけは失いたくないと思った。
「…っい、っすよ…。」
まだ噛み付いた所にジンジンと痛みがあるのか、ゆっくりと呼吸を落ち着けるように赤也は話し出した。
「俺は…あんたなら、どんなに束縛されても、例え…殺されても、何されてもいい。それ…に…俺、だって…っ、仁王先輩と一緒なんすよ。」
ポロリ…と赤也の瞳から一筋の涙が溢れた。
「…俺は、あんたと付き合う前から、…はっ…ずっと、あんたのことが好きで、…でも、いざ付き合ってみると、今度は浮気とか…飽きないかとか、不安で…」
『ずっと、怖かった。』と言って赤也は俺に抱きついて泣きじゃくった。
「…俺だって、もう普通になんて愛せない…。依存してるんすよ…先輩に。」
頭を俺の胸に寄せる赤也。直に赤也の体温と赤也の流す涙が染みる。なんだか、妙に心地よかった。
赤也も、壊れとったん。…俺だけじゃ、なっかった。
「俺も依存しちょる。赤也しか見えんもん。…赤也、好きじゃ。愛しちょる。」
俺がそう言うと赤也は俺の胸から少し頭を浮かせニコッと笑った。
その時、俺の頬に水みたいなモノが伝った。それが涙だと気づいたのは少したってからだった。
「…大好きっす、先輩。」
「俺もじゃ。」
きっとこれからも不安になるたびに、どんどんどんどん可笑しくなって行く事だろう。
でも、もう怖くなんてない。
「…続きするかの。」
「はい。」
スルリと誘う様に腰に巻つけられた赤也の細い足。
今までよりも、ずっと積極的でとても…美しい。
「先輩、…絶対に俺を捨てないでね。」
『捨てたら殺すよ』みたいな目で赤也に見つめられる。
そんなん、当たり前じゃろ。
「おう、赤也。おまんもぜよ?」
ゆっくりと微笑みながら俺は赤也にそう言った。
まだ、頬に伝う涙は止まらない。
「当たり前っす。」
『愛してるんすから……。』と耳元で赤也に囁かれたのと同時に俺は赤也の身体に愛撫を始めた………────。
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