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危険地帯
13


「んんっ。」

「あ、起きたかな?樹里くん?」

「あ…れ?私の…部屋?」


起きたら私の部屋で目の前には玲音先輩。一瞬頭が真っ白になっちゃった。



「そうだよ。泣き疲れて寝ちゃったからね、抱っこして連れてきたんだ。もう、大丈夫?」


「え?先輩が?すみません…。ありがとうございます…。

あ、重かったですよね、すみませんっυ」


「良いよ。むしろ、軽すぎ。ちゃんとご飯食べなきゃダメだよ?

あ、目、腫れちゃったね。これで冷やしておきな?」


むしろ重いと思うんだけどなあ。
ん、確かにちょっと目ひりひりする。
先輩の額に乗せてくれてる手が温かかった。


「あ、ありがとうございます。」


「じゃあ、俺帰るから、ゆっくり寝て…」


「先ぱいっ!」


思わず手を掴んでしまった。

何でかな…。
ただ行っちゃうのかと思ったら寂しかった。


「ん?どうした?」


一瞬驚いた顏をしたけど、微笑みながら聞き返してきた玲音先輩に。


「もうちょっとだけ、こうしててもいいですか?」


先輩の手を自分の額に乗せて言っていた。


「っ!こうしてるから。安心して寝ていいよ。」


大丈夫。ひとりじゃない。

夢うつつの中でそう言われた気がした。












スースー

「ふっ。おやすみ…、樹里ちゃん。」

そう言って額にキスをして部屋を出て行った。











「おい、樹里いたか?」

「いませんよ。部屋戻ってると良いんだけど…―、あっ!」



「よっ!お2人さん。今日勝ったんだって?お疲れさま。見に行ったんだけど、もう終わっちゃっててさ〜…」


「玲音?お前何で樹里の部屋から…?」


玲音が樹里の部屋から出てくるのを見た2人は駆け寄った。


「ん?今さっき、樹里くんを送ってきたところ。2人ともそんな疲れた顏してどうしたの?」


「どこで樹里を見つけたんだ?

樹里は大丈夫かっ!?」


玲音は自分の胸ぐらを掴みながら聞いてくる亮に驚いていた。
英二も樹里の心配をしていたが、それが吹き飛ぶほど亮は必死だった。


「樹里くんは寝ちゃったから送ってきただけ。大丈夫だけど…―、亮?」


玲音は亮を心配そうに見ている。

(いつもの亮じゃないみたいだ。)


「はあ、玲音が見つけてくれてたのか、良かった…」

「玲音先輩ありがとうございます!あ〜、まじで良かった、無事で…」


「…無事?

お前ら本当にそう思ってる?」



「え…?」

「玲音?」


亮と英二を冷ややかな目で見つめながら玲音は続けた。


「他校の奴らに絡まれる前から樹里、泣いてたみたいだよ。だから、相手に気づかないで囲まれて…俺が間に合わなかったらと思うとゾッとする。」


「「…」」


「泣いてたんだよ。

何があったのかは知らないけど…お前らが必死になって探してたとこみるとお前ら関連のことだろ?
泣かしてんなよ。

さっき寝たとこだから今日はもう2人とも部屋に帰れ。」


亮でさえ見たことない真剣な顏をした玲音に何も言えなかった。



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あきゅろす。
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